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CSBA理事長論文に便乗する陸自OB論文

陸自OBの教授が脆弱空自に宣戦布告!
CSBA論文を盾に、陸自のみで第1列島線防衛が可能と

南西諸島.jpg7日付Wedgeサイトが、陸自を春退官(研究本部の第一研究課長で)したばかりの吉富望・日大教授の論文「陸上自衛隊への期待と課題」を掲載しました。以前紹介した現役自衛官による「中澤論文」と同様の流れを汲む、陸自生き残りのための理論武装を狙う論文ですが、今回は退官して「学際」に入った人物からの発信です。

退官後にまで元所属組織に忠誠を誓う陸自OBの「血の絆」を感じずにはおれませんが、その「陸自よいしょ」ぶりからは、再就職先を斡旋(?)してもらった「お礼奉公」の臭いが漂ってきます

本論は、CSBAのクレピネビッチ理事長がForeign Affairs誌の2015年3月/4月号に寄稿した論文「How to Deter China」を紹介しつつ、その「土俵」に乗っかり、後ろ盾にして、第一列島線で中国軍の西太平洋進出を阻止する上で、陸上自衛隊の役割が今後も如何に重要かを訴えるものです

CSBA理事長論文への「乗っかり」が巧みで追い風(?)を捕らえた論文ですが、注意を要する点も多々含まれた論文ですので取り上げます。
陸自に対し「組織のスリム化や装備の効率化」を求める表現が一度だけ短く登場する一方で、「米軍や第1列島線諸国軍の航空戦力」にはあまり期待できないと堂々と主張する点が「中澤論文」からの進歩(戦術の変更)です

Krepinevich.jpg一方で気になるのは、CSBA理事長論文の背景を全く語らず、CSBA理事長が「第1列島線防衛」に「地上部隊」が重要として陸上自衛隊に言及している点だけを大声で振りかざし、「地上部隊=陸自」だから陸自が対中国A2ADの中核だと言わんばかりの論理展開になっている点です。

更に、海空自衛隊が夏休みもそこそこに、対中・対露の実任務に汗を流す中、「リフレッシュ期間」と称して将軍から一兵卒に至るまで、全員「長期の休眠」モードには入る「暇な陸上自衛隊」の合理化に関する分析検討が全くなく、陸海空が「互いに譲り合う」ような論調になっている点も看過できません

もう制服を脱いだのだから、しがらみを脱し、本当に言いたいことを言うべきでは無いですか? 十分に問題点を把握しているでしょ。吉富教授どの!!!

同列にある現役自衛官の論文
「中澤論文」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-12-10

以下ではまずCSBA理事長論文を読むに当たって留意しておくべき「執筆の背景」や「論文の狙い」を考察し、吉富教授の主張に触れる前に免疫力を高めます。
そしてCSBA理事長論文に便乗する吉富論文の概要に触れ、チョット吉富教授に質問を投げかけた後、まんぐーすが思うことをコメントさせていただきます


CSBA理事長論文の背景(推測です)
CSBA-Krep3.jpg●予算配分に関わる懸念から米陸軍や海兵隊がCSBA提唱の「エアシーバトル」に拒否反応を示し、国防省からエアシーバトル室が消滅した中で、CSBAは「心ならずも」米地上部隊にも配慮した軍事的提言を求められている
●また、「エアシーバトル」批判でよく聞かれた「懲罰的抑止」に力点を置きすぎエスカレーションの懸念がある点や、米国の財政状況への配慮不足にも対応する必要があった

●論文「How to Deter China」でCSBA理事長は、米軍地上部隊に第一列島線構成国地上部隊のバックアップ(フィリピンでは主力だが)任務を与え、対中国での米地上部隊の任務を明確にしつつ装備体系変更を訴えると同時に、第2列島線より後方での待機を第一として負担感の軽減を図っている
●同時に「拒否的抑止」にも力点を置き、日本やベトナム等への「負担シフト」が可能な地上部隊による「中国の海上・航空優勢を拒否する役割」を提唱することで、米軍事予算問題への対応を示すことに配慮している。

Waterdrop.jpg●このようにCSBA理事長の論文は、米国内事情へのCSBAの対処案を打ち出す必要性から生まれたもので、第一列島線構成国が「小躍りして」読むべきものでは無い。米国の内情をよく推し量り、個々の提案の善し悪しを慎重に吟味すべきものであり、陸自応援論文だと「早合点」または「意図的に曲解」すべきではない
むしろ理事長論文からは、内向きな米国を象徴するオフショア・バランシング論(Offshore Balancing)の代表的スローガンである「二度とユーラシア大陸で地上戦を戦うな!」、「米国は前線に立つな。遠方から操作せよ」、「負担のシェアでなくシフトだ」との主張が感じられる。

オフショア・バランシング論の解説
http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-02-27

吉富教授によるCSBA論文活用論文の概要
●CSBA理事長は地上戦力に下記の役割を期待。これにより海空戦力は分散することなく、遠距離偵察や空爆などの任務に重点志向可能

1. 中国軍の海上・航空優勢獲得を直接拒否する役割
(1) 地対空ミサイルおよび地対艦ミサイルにより空中・水上からの接近を拒否
(2) ロケットランチャー、ヘリコプター、舟艇による機雷敷設およびロケットランチャーによる対潜魚雷の投射により水上・水中からの接近を拒否
(3) 島嶼への上陸・占拠を拒否

2. 味方の作戦基盤を防護する役割
島嶼と海底に設置された光ケーブルを防護し、戦闘ネットワークを維持
3. 拒否的抑止に資する役割
地対地ミサイルによる敵地攻撃  

DF-21D 2.jpgCSBA理事長は、第1列島線周辺における中国の海上・航空優勢を拒否する役割は総じて地上戦力によって達成可能と主張する。なぜなら、まず、中国軍のA2ADによって米軍および第1列島線諸国の海空戦力のプレゼンスは低下するから
●また、陸上戦力は地形を利用した隠蔽や防御でA2AD環境下でも第1列島線で生き延び健在し、中国軍に対抗できる能力を持ち得る空爆のみで敵の地上部隊を壊滅させた例は見当たらない

●CSBA理事長は陸自について、米軍の支援が無くても中国軍の海上・航空優勢獲得を拒否する能力を大幅に強化できると断じている。陸自が沖縄に地対空ミサイルを配備し、地対艦ミサイルを島嶼に展開する訓練を実施し、与那国島への配置を決定し、奄美大島、宮古島および石垣島に配置を検討中

●同理事長はまた、地上戦力による機雷敷設や対潜魚雷の投射も提唱するユニークなものである。陸自は地対艦ミサイル、多連装ロケット、ヘリを保有しており、海自の統制下で機雷敷設や対潜魚雷の投射を行う検討に価値はある
●更にCSBA理事長は、地上戦力が地対地ミサイルによる敵地攻撃能力を持つことを提唱しているが、技術的には可能でも政治的には敏感な問題である。

イベン~1.JPG●この様に陸自が南西諸島周辺での海空優勢拒否において果たす役割は大きい。CSBA理事長は言及していないが、同時に、陸自は島嶼防衛と海空優勢拒否を両立させる必要がある
●陸自はヘリ以外に離島に部隊等を機動展開させる手段がない。多数の隊員や装備・物資等を迅速に輸送できる高速輸送艇(機雷敷設も可能)を陸自が自ら保有し、配備する必要がある

●とはいえ、島嶼防衛と海空優勢拒否を両立させる予算の増額は多くを期待できない。従って陸自全体として組織のスリム化や装備の効率化を進め、同時に陸海空自衛隊による統合を進めて必要な資源を捻出する必要がある。
●重要なのは、陸海空の各自衛隊が南西諸島における島嶼防衛と海空優勢拒否を両立するために如何に役割を分担するかである。


コメント前に、ちょっと吉富教授へ質問
以下の断定的表現には空自も含むの? 
(現役時に職務上知り得た知識ですか?)
「中国軍は・・・有事には第1列島線に所在する航空基地に対して大規模なミサイル攻撃を行うと考えられている。その場合、米軍や第1列島線諸国軍の航空戦力は、こうした攻撃で早期に壊滅することを避けるため、ミサイル攻撃等を受けにくい第2列島線の航空基地に退避し、そこから第1列島線付近に飛来して作戦を行うこととなる」

沖縄海兵隊は、なぜCSBA理事長論文では戦力にカウントされていないと思うか?


コメント:吉富教授の姿勢に思う
Iranmissile.jpg空自を含む航空戦力が、中国の弾道・巡航ミサイル攻撃に対し極めて脆弱で、有事に機能を果たせないと勇気を持って主張した点は、「脅威の変化」を正しく捕らえた点で評価に値する
●また併せて、強靱性や抗たん性を重視した装備体系の重要性を訴え、「陸海空各自衛隊が南西諸島で如何に役割を分担するか」と言った問題提起をしている点は注目されるべき
●一方でそれ以上に興味深いのが、陸自の組織防衛や予算獲得戦略として、「他自衛隊の脆弱性攻撃」や「他自衛隊の任務奪取」を前面で主張する戦術変更の動きが伺える点である。

●少なくとも「無知」で知的蓄積がなく、戦闘機数維持だけしか眼中にない航空自衛隊は、この冷徹な事実を踏まえた陸自の攻撃に耐えられないだろう
●これまで航空戦力の作戦基盤が脆弱である点を「全く無視」し、戦闘機で「巡航ミサイル」を撃破する「夢物語」を語ってきた空自の喉元に、陸自がナイフを突きつけた衝撃は大きい。陸海空の「泥試合」も今後予期される

Chinese-BM-ranges50.jpg●ただし吉富教授は、米国内の論壇を主に見据えたCSBA理事長論文が、同盟国への「負担のシフト」を大前提とした主張を展開している点から目を背けている点で無邪気すぎる
●CSBA理事長論文を陸上自衛隊生き残りの「錦の御旗」に祭り上げ、これなくして何も議論できない「陸自組織のスリム化や装備の効率化」や陸自のスクラップアンドビルドに関して何の掘り下げもなく、「地上戦力=陸自」との拡大解釈を前面に立てている点で、論文の信頼性を著しく損なっている

日米軍事同盟の「操舵室」に入るべために知恵を絞るべき日本のあるべき立場に目を背け、おそらくそうと知りながら、引退後も組織のしがらみに縛られ、「陸自の組織防衛」理論強化に入り込む姿が卑しい
例えば、「地上戦力」と「陸上戦力」との用語の両方を区別無く使用しているが、「地上戦力」を陸自戦力だと読者に「刷り込もう」とする意図が見え隠れし、白けてしまう。

●「沖縄県内には49の有人島が存在するが、これだけ数の有人島を守るためには更なる能力強化を」と訴えているが、海空戦力の脆弱性を冷徹に指摘する軍事的合理性を掲げる吉富教授が、太平洋戦争時の南方戦線の教訓を無視し、陸上戦力での領土死守を訴え、「49島×数百人」の計算で陸自の組織防衛に貢献しようとする姿は情けなさを感じさせる
●「空爆のみで敵の地上部隊を壊滅させた例は見当たらない」との見出しを付け、島嶼部を地上部隊だけで死守するとの「決意」と「やる気」で突っ走っているが、正気か???

Yabu5.jpg無理なことは無理と主張すべき。無尽蔵の財源を前提とした議論は言いっぱなし議論を招き有益でない。
●更に今後、「49島×数百人」の積み上げが公式な理論に発展すれば、「安保法制」議論で激減している陸自志願者の募集が、ますます困難に直面することを憂える

●このように陸自中心の視点に立ち、「陸海空自衛隊による統合を進めて必要な資源を捻出する必要」や「陸海空各自衛隊が南西諸島で如何に役割を分担するか」と言った問題提起があるが、陸海空が「互いに譲り合う」ような論調でまとめており、暇な陸自の実態からかけ離れている

●更に言えば、海空戦力とは異なり、(防勢的な)陸自は「災害救援・人道支援などで中国と協力できる」から信頼醸成に最も適していると言及するあたりは、「中澤論文」と全く同じ締め方で墓穴を掘る形になっており、「災害派遣による生き残り戦術」で思考回路まで本末転倒になっている陸上自衛隊の「陰」を強く感じさせる
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熱くなりすぎたかもしれません。米軍を反面教師として、陸海空の「内戦」だけは避けたいんです。
陸のリストラも身を挺して語ってください。吉富教授殿

CSBA-Krep6.jpgCSBAクレピネビッチ理事長来日旅程や講演で、陸自OBの山口昇氏が接遇や進行を勤めていたので気になっていたのですが、退役陸軍士官の結束で、クレピネビッチ論文を陸自防衛に取り込む手腕は流石です

陸自研究本部の研究課長だった人物を、大学教授に再就職させ、情報発信させる組織的取り組みにも頭が下がります。
それが可能で、人が余っている陸上自衛隊にお願いしたいのは、陸自の組織防衛だけではなく、真の国防を見据えた活動の推進です。海空自衛隊は疲弊していますから・・・

CSBA理事長の来日公演
http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-06-27

吉富論文と同列の現役自衛官の論文
「中澤論文」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-12-10

オフショア・バランシング論の解説
http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-02-27

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「戦争はだめ」だけで生き残れるのか?

安保法制を巡り、憲法解釈等々ピントはずれに騒がしく、梅雨の蒸し暑さが身にしみる今日この頃、今は筆者(茂田宏氏:元外務省テロ担当大使、国際情報局長等)の仕事の都合で中断している「国際情報センター」の記事を思い出しご紹介する次第です

2011年12月14日にアップされたこの記事は、「戦争はいけない」と言うだけで平和に過ごせるとの考え方を戒め、平和を願えば、平和になるというのは人類の経験に反する空想的平和主義であると訴えます。

また、子供たちに戦争体験を語り継ぐなどの努力はしてもよいが、戦争の悲惨さを知ることと戦争がどうして起こるのかを知ることは別のことと喝破し、情緒的になりがちな戦後70周年記念報道を予言するが如く指摘しています

更に、日本でなぜ「空想的平和主義」がはびこっているのかを考えてその問題点を指摘し、日本には「ハト派」や「タカ派」ではなく、問題から目を背け首を地中に突っ込む「ダチョウ派」が多いと描写します。

以下、原文をそのまま掲載します

戦争と平和の問題

sigetaH.jpg1、 日本外交が誤らないためには国民や当局者が国際情勢判断を誤らないことが重要であるが、国際情勢判断と同じように重要なのが、日本が情勢にどう対応するかである。
特に重要なのは戦争と平和の問題、言いかえると、安全保障政策である。戦後の日本の安全保障への取り組み方には相当大きな問題がある。

2、 大蔵大臣であった宮沢喜一さんが「戦争だけはしてはいけない」と訓示した。
私は宮沢喜一さんのこういう発言は前提が誤っていると考えている。なぜかと言うと、日本が戦争になるかどうかは日本の選択だけにかかる問題ではないからである。そのことを心から納得して、認識することが重要である。

戦争をしないという決心をすれば、戦争にならないのであれば、そう決心すればいい。しかし戦争と平和の問題はそんなに簡単な問題ではない

1917年のロシア革命後、ボリシェビキ政権は平和の布告を出し、第1次大戦から離脱しようとしたが、ドイツが攻撃をやめず、戦争は継続した。ブレストリトブスク条約でドイツの要求に全面的に屈服し、領土などで大幅な譲歩をしてようやく戦争は終わった。この交渉を行ったのがトロツキーであるが、その際トロツキーは同志たちに、「諸君は戦争に関心がない。しかし戦争が諸君に関心があるのだ」という演説をしている。

日本が戦争を仕掛けない限り戦争にならないというのは誤っている。戦争をしないと決心すれば、平和に過ごせるというのは根拠のない考え方である平和を願えば、平和になるというのは人類の経験に反する空想的平和主義である。平和への祈りで平和をというのは、雨乞いで雨を降らせようとする古代の祈りのようなものである。

戦争と平和の問題は国家の外交にとり最重要な問題であり、真剣に検討すべきであって、空想や祈りで片づけられるものではない。

3、 本当に平和を望むのであれば、平和とはどういうものかよりもむしろ、戦争とはどういうものか、歴史上、戦争はどうして起こったのかを研究する必要がある。そして戦争にならないためにどうすればよいのかを考える必要がある。そのためには抑止など、軍事戦略の研究も要る。

ツキジデスは戦争の原因として、利益、恐怖、名誉を挙げている。永続した平和の類型として、レイモンド・アーロンは、覇権による平和、均衡による平和、核の破壊力への恐怖による平和を挙げている。そういうことについて思索を深めることが重要である。

戦争を知らない子供たちに戦争体験を語り継ぐなどの努力はしてもよいが、戦争の悲惨さを知ることと戦争がどうして起こるのかを知ることは別のことであり、後者の問題の方がずっと重要である。

安全保障問題に関して、ハト派やタカ派があると言われるが、私の見立てでは、日本にはダチョウ派が多い。ダチョウと言うのは危険が迫ると砂の中に頭を突っ込んで危険を見ないようにして危険をやり過ごそうとする習癖があるが、

日本にはそういう人が多い。そういうダチョウがなぜ生き残ったのか。豪州と言う無害な環境にいたからであろうが、今の東アジアは北朝鮮や中国のことを考えただけでそういう無害な環境からは程遠い

4、空想的平和主義の議論が日本で強いのか
いくつかの要因があるが、大きく言うと三つである。

第1:日本人の歴史的経験がある。日本は島国であり、歴史上、他国からの侵略をうけたことは元寇しかない。第2次大戦で敗戦、占領を経験したが、これは自分がはじめた戦争の結果であった。それで自分から仕掛けないと、戦争にはならないという考え方をする。ロシア、中国、欧州諸国など大陸諸国は攻め込まれたことが多いが、そういう国民と経験の差がある。しかし技術が進歩した今、海が守りになる時代はずっと前に過ぎている。

第2:第2次大戦での敗戦体験の影響がある。「欲しがりません、勝つまでは」で、頑張った国民はその労苦を敗戦と言う結果で報いられ、もう戦争は嫌だという気持ちになった。戦争は悲惨なものであり、そういう気持ちになることはよく理解できるが、戦争と平和の問題はそういう感情論で処理できない

第3:第2次大戦後、国際社会は強い対日不信を持ち、軍事的に弱い日本がアジアの平和、世界の平和のために好都合であるという観点から、政治的にも思想的にもそういう日本を作ろうとしてきた。これは米、ソ連、中国、韓国その他のアジア諸国のコンセンサスであった。

そのための努力は戦争罪悪感育成プログラム、GHQによる検閲、東京裁判など広範囲に行われたが、連合国、特に米国はその企てにかなりの程度成功した。
その中で、米国は主権国家が当然持つべき軍隊を持てないような憲法を日本側に押し付けた。このGHQが2週間足らずで起草し、押し付けた憲法は、今なお改正されることなく存続している。

この憲法前文には、「諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した」と書いている。しかし日本人を拉致して返さない北朝鮮、尖閣問題で藤田建設の中国滞在者を人質にとるような行為をする中国、日本の領土を占領し続けているロシアのことを考えただけでも、「諸国民に公正と信義」があるとはとても思えない。

この前文はないものをあると言っている虚構である。そもそも国家は国益を基準に動いているのであって、「公正と信義」で基本的には動いてはいない。これは常識と言ってよいだろう。
しかしこの常識外れの前文が第1、第2の要因と共鳴し合い、日本では少なくとも今日まで受け入れられてきた。

自由主義者であった石橋湛山は、世界は憲法のいう理想からまだほど遠いので、憲法の理想はそのままにしておくが、一時執行停止にすべしと論じたことがある。

4、 誤った考え方が、戦後の日本外交に深く広い影響
日本の外交を立て直していくうえで、この戦後日本をどう評価し、どうそれから脱却していくのかが最大の問題である。
戦後、日本に押し付けられてきた束縛がどういうものであるかというと、これは端的に言うと、象徴天皇制、1946年憲法、日米安保条約の3本柱から成っている。この3本柱は相互に依存し合っている。

1946年2月13日、ホイットニーが吉田茂外相、松本国務相などに日本国憲法を押し付けた際に、これを受け入れない限り、天皇が戦犯として訴追されることもありうると述べ、日本側がこれを受け入れざるを得ないと決断した。

サンフランシスコ講和条約で日本は占領を脱することになったが、それと同時に米軍駐留の継続を認める日米安保条約が締結された。憲法上、軍を持てない日本の安全保障をどうするのか、米軍の駐留を継続するしかないではないか、ということである。憲法と日米安保条約はそういう意味でセットになっており、いまでもそうである。

今後の日本を考える上で、私は日本が他国に脅威を与える存在にならないこと、軍事的に弱い日本がアジアの平和に役立つとの考え方から脱却する必要があると考えている。

日本がアジアで唯一の先進工業国家で産業基盤や科学技術力で他を圧倒していた時代は去った。いまや日本が脅威を与えるよりも、中国や北朝鮮からの脅威に日本は直面している。状況が変化した中で、日本もそれなりの対応をする必要がある。

5、 戦争と平和の問題を人任せにはせず、自分で真剣に考えることがこれからの我々の第1の課題であろう。(文責:茂田 宏)


おまけで石破茂氏のブログより
(2015年6月19日付)

ishiba2.jpg6月17日の党首討論は、やや議論にすれ違いがみられ、少し残念に思いました。
民主党党首の岡田氏が「徴兵制は違憲だと言っているが、これも総理が変われば合憲に変わりうるのか」と質問しましたが、これは朝日新聞や東京新聞によれば、かつての私の発言を念頭に置いたものだそうです。

私自身が日本において現在も将来も徴兵制をとるべきではないと思っていることは、2010年に当欄にも記しましたし、著書でも述べました。

一方で、これまた以前にも述べたことですが、かつてNATOの現状視察でドイツを訪問した際なぜドイツは徴兵制を維持しているのかを議論した時の光景を今も私は強烈に覚えています(今はドイツにおいて徴兵制は「停止」されています)。 

与野党問わず、参加したすべてのドイツの国会議員から「軍隊は市民とともにあらねばならず、軍人は軍人である前に市民であらねばならない。軍が市民社会と隔絶した存在であったからこそナチスが台頭したのであり、あのようなことを二度と繰り返さないためにこそ徴兵制は必要なのだ」との論が展開されたことに、強い衝撃を受けました。

最近まで徴兵制を維持していたフランスにおいては市民による国家を市民が守ることは当然の義務である、との論を多く聞きましたし、永世中立国・平和国家として多くの日本人の憧憬の的であるスイスにおいては、いまでも憲法に国民皆兵が明記され、2013年には徴兵制廃止の提案が国民投票で否決されています。

日本と欧米では、近代市民社会の成り立ちが根本から異なっていることを改めて痛感させられます。
集団的自衛権の議論も、「世界の中の日本」という意味ではその構図に似たものがあるように思います。

選挙権が18歳に引き下げられることとなり、我々もこれに見合った対応をしなくてはなりません。
日本はちっとも国民主権の国ではない。あれもしてくれ、これもしてくれ、と要求だけしているのは(主権者である君主に対する)臣民、サブジェクトの立場なのであって、決して主権者ではない」と喝破されたのは故・田中美知太郎先生ですが、主権者としての在り方を正しく学ばせる教育の在り方も同時に求められています

徴兵制関連の過去記事
「ノルウェー:究極の平等めざして」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-06-16
「オーストリア徴兵制維持へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-01-22
「画像:イスラエルの女性兵士」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-12-27
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CSBA提言の台湾新軍事戦略に学べ

2014年で最も印象深いレポート!
通常戦で到底太刀打ちできない中国対策を考える

Protraction遅滞作戦重視で抑止力向上を
費用対効果から日本も真剣に採用検討すべき

CSBA-Taiwan.jpg2014年12月21日、シンクタンクCSBAが「Hard ROC 2.0: Taiwan and Deterrence Through Protraction」とのレポートを発表し、中国軍との圧倒的戦力差に直面する台湾軍に対し、従来の戦闘機や潜水艦や大規模陸軍を重視した国防投資を根本的に改め、対艦ミサイル、ミニ潜水艦、機雷、移動式防空ミサイル、隠蔽掩蔽などの消極防空、サイバー、電子戦、ISR妨害、心理戦等を重視した軍事戦略にを追求すべきと提言しています

なお「Hard ROC 2.0」(台湾:ROC:Republic of China)とのタイトルは、現台湾が採用している「Hard ROC」との国防戦略が不十分であることから、その改訂版「2.0」を提言するとの意味がこめられたものです

このような提言こそ、しがらみと惰性に流されやすい軍人が口に出せない、つまり国防関係者からの提言を期待できない、軍事情勢の変化を素直に受け止めた提言です。
ありがちな総花的国防費増額論や、F-35導入に代表される惰性的で無責任な現有装備近代化の追求路線ではなく、国家資源の現状を冷徹に見据えて取捨選択を図り、実行可能性を突き詰めて選択肢を提示すべきとの使命感あふれた提言でもあります

本レポートを執筆したCSBA研究者たちは、本提言を南シナ海を取り巻くベトナム、フィリピン、インドネシア等にも導入すべきと提言しており、夢に基づくぼんやりとした国防議論ではなく、地に足の着いた軍事戦略で政治家や国民の意志を固めよとも訴えています

南シナ海沿岸のパートナー国のみに言及して日本に触れていないのは、米国の同盟国として軍事力増強への期待が高いからでしょうが、中国軍が現ペースで軍事投資を継続すれば、日本が台湾と同じ状況に置かれることは時間の問題です。既に台湾化しているとも言えましょうが・・・。

rehman-CSBA.jpg日本への適応は「非現実的だ」と思う方も多いでしょうが、冷静に中国軍事力とその狙いを見据えれば、防衛白書の描く「戦い方」や防衛力整備の方が「非現実的」かつ「無駄」で、非対称戦(ゲリラ戦思想とも)を強く意識した軍事戦略がより有効なことが徐々にご理解いただけるでしょう。他に選択肢が無い・・とも言えます

本レポートは若手のIskander Rehman研究員が筆頭執筆者になっていますが、エアシーバトルや軍の革新を提言し続けるCSBAの中核研究者であるJim Thomas副理事長がNo2の位置を占め、CSBAが力をこめて送り出したものと確信してます

クリスマス直前に発表した狙いは様々に推測されますが、新年にあたり、是非落ち着いてご覧いただきたく、ご紹介いたします。


まず本レポートの情勢認識
●台湾と中国の国防投資は、年間予算で1:14モノ開きがあり、更に過去20年間に積み上げられた両国の圧倒的な戦力差を考えると、台湾が今後国防費を増加しても通常戦で中国に勝利する希望は持てない
●台湾の指導者も上記を意識し、「Hard ROC」国防戦略で「非対称軍事戦略」を強調する方向を一応は打ち出している。しかし実体は伴っておらず、台湾軍の近代化は依然として新型戦闘機や海軍艦艇、大型潜水艦や重装備陸軍への投資に向かっている

●台湾軍の軍事戦略は、武力により台湾問題を解決しようとする中国の意図を挫くため、台湾への武力行使が中国にとって耐え難い国家資源の損耗につながることを理解させるために寄与すべきである。
●しかし台湾の現国防投資は、この観点から極めて不十分である。中国軍が奇襲的先制攻撃で短期の局地的な高列度紛争に圧倒的勝利を収めようとしているのに対し、台湾は「時間稼ぎ」と「戦いの長期化」こそが軍事戦略の中核だと認識すべきである

(まんぐーす注:大人の事情からか言及は無いが、台湾が投資している戦闘機や艦艇や潜水艦が、中国の大規模初動攻撃に極めて脆弱であり、短時間のうちに戦力として存在しなくなる可能性が高いことが基本認識の根本にあります)

「Hard ROC 2.0」提言の方向性
●「Hard ROC 2.0」提言では、台湾の抑止力を強化し、抑止が崩壊した場合にも台湾国土防衛に資することを目的として戦略を提言する
●中国軍がまず獲得を目指す海空領域の支配を阻止するため、これを遅らせて戦いを長引かせることが目指すべき台湾軍の主要な役割となる

●台湾軍は海空領域で決して完全な中国軍阻止を目指す必要はない。求められるレベルは高くは無い。継続的に中国軍に対する脅威が存在することを示し、中国軍の行動に制約を与え続けるのだ
●台湾軍が中国軍の一定規模部隊を撃破する能力を保ち続けると相手に意識させることができれば、中国軍が武力行使の誘惑に駆られる確率を低下させることが出来る。

●このため台湾は、「海洋拒否戦略」を採用し、北ベトナムが米軍に行ったような「非通常型の防空作戦」でこれを補完して時間を稼ぐべきである。また上記戦略は、「見えない戦い」とも言えるサイバー戦、戦士妨害戦、情報&対情報戦、心理戦等で強力にサポートされるべきである
●仮に抑止が崩壊し、中国軍の上陸を許した場合でも、「重層的な国土防衛」を展開して中国軍に多くの損耗と時間を強い、継戦意志を挫くべきである。またこのような戦略を明確にし、政治的な意志や国民の防衛意識を強固に根付かせることにつなげるべき


ゲリラ的「海洋拒否」とは・・・
●「Hard ROC 2.0」の最初の重要要素はゲリラ的「海洋拒否」である。しかしここで台湾は完全な海洋支配を追及する必要はない。海洋支配や海洋阻止、又は台湾に侵攻する中国海洋戦力の主要な一部を攻撃できることが明確な戦力を「維持」することが重要である
●この目的達成のため、台湾軍はミニ潜水艦(midget submarine)、地上配備沿岸防衛ミサイル、攻撃的機雷を重視すべきである

●現在台湾は米国に8隻の通常型潜水艦(千から2千トン)を要望しているが、この代替として北朝鮮やイランが保有する42隻のミニ潜水艦(120t程度)を保有してはどうか
●この規模のミニ潜水艦は8隻の通常潜水艦を運用すると同規模の人員で運用でき、台湾国産で製造可能であり、経費も通常潜水艦8隻以下である。
●ミニ潜水艦は敵の攻撃や情報収集にも有効だが、かなりの中国軍海洋戦力をミニ潜水艦対処に拘束する役割も大きい。

●ミニ潜水艦が入手する敵情報は、沿岸配備の対艦巡航ミサイル部隊で活用できる。中国軍の着上陸艦艇32隻と60隻の護衛艦艇群を想定すれば、1200発の対艦巡航ミサイル(ASCM)で対応可能だ
●ASCMは、トラックに4発づつ格納したコンテナで搭載することで、相手からの発見と攻撃を困難にして中国軍に大きな負担となる。

●ゲリラ的「海洋拒否」の3つ目の柱は、攻撃的配備の機雷である。雑音の多い台湾海峡や中国海軍の主要港湾施設の近海に事前配備した無人水中艇や高度な機雷は、中国海軍の活動を大きく制約する。また中国戦力に対処のための戦力配分を強要し、中国海軍の海洋封鎖作戦や侵攻作戦を遅滞できる
●(強調したいのは、)ミに潜水艦42隻、1200発のASCM、更に相当数の機雷を調達して運用しても、現在台湾が追求中である8隻の通常型潜水艦予算よりも明らかに安価である点である。そして「海洋拒否能力」は、8隻の潜水艦より高まると想定できることである


台湾による「非通常型の防空」
●「Hard ROC 2.0」の2番目の要素は、ゲリラ的な「非通常型の防空」である。これには、移動可能な重層的な防空網と、偽装、隠ぺい、ぎまん等の組み合わせが含まれる。これらは中国軍に時間と浪費を強要する消耗戦を強いる
●また中国軍によるISR活動と戦果確認(BDA)を非常に困難にし、更に余分な戦力を無駄に投入させることが出来る。

●中国軍は作戦当初に海空での行動の自由を確保するため、台湾の防空網を制圧しに掛かるだろう。従って、台湾の防空組織が長く効果を維持できれば出来るほど、中国軍は台湾の巡航ミサイル軍等の制圧に時間を要することになる

●台湾軍は、空軍の戦闘機を更新するために多額を投入するよりも、高度に分散した抗たん性・耐久性のある地上防空ミサイル網構築に力を入れるべきである
●この際、台湾軍防空網は侵攻する全ての中国軍機を阻止する必要はない。可能な限り長く防空任務を継続することを念頭に、中国空軍に消耗とその脅威を与え続けることが求められる

●台湾は米国にF-16C/D型を66機を約7000億円で要望しているが、中国への配慮もあり、米国は145機の現有F-16A/B型への能力向上を4000億円で提案し、必要なエンジン換装を1000億円で議論している。
●この差額を上記の移動式防空網に投資できれば、更にゲリラ的「海洋拒否」で浮いた数千億円を再投資すれば、1800発の防空ミサイル(20発搭載可能な50台の移動発射機を含め)を購入可能である(シースパロー級を想定)。

●再度述べるが、ここで提言する台湾ミサイル防空網は、緒戦での最大戦力発揮ではなく、サバイバル:長期継続運用を重視する。これはベトナム戦争時の経験から導いた提言である
●北ベトナム軍は、米軍の飛行89回に1発の割合でしか地対空ミサイルを発射しなかったが、これにより米軍は爆撃機の援護に倍の援護機をエスコートさせることを強いられた。防空網がサバイバルすることで、中国軍機に多くのコストと労力を強いることが出来るはずである

CCD(偽装、隠ぺい、ぎまん等)で効果増幅
●台湾ミサイル防空網は、多数の偽目標を設置することで中国軍に更に負担を強いることができる。これには光学及び赤外線センサーを欺くデコイ、高度な通信電子機器妨害装置やデコイ等が含まれる
●被害を受けた台湾の飛行場や滑走路を、修復したかのように見せかける装備はとりわけ効果的であろう。航空基地や滑走路は優先度の高い目標であり、中国側に再攻撃を強いることが出来る


「重層的な国土防衛」への転換●強襲侵入や着上陸作戦の経験の無い人民解放軍にとって、防御された沿岸部やその地形は大きな脅威である。沿岸部や地上の地雷が加わればなおさらである
●トラックに搭載した野戦砲や多連想ロケットを沿岸部に配備し、機動運用すれば中国軍にとって大きな脅威である

●着上陸を許した場合、台湾軍は持久戦に持ち込み、敵の侵攻を遅滞させ、交通網を混乱させ、敵に出血を強いる
●このためには、高度に分散されつつも組織化された小規模地上部隊が、通信が途絶しても自立的な作戦遂行を継続し、不正規戦を貫く必要がある

●武器や弾薬等を小分けにして各所に事前保管し、地域の防衛組織を形成してゲリラ的な戦いを継続する基礎を作っておく
●台湾陸軍内に市街戦や山岳戦に特化した予備役を保持し、レジスタンス活動に当たらせ、同時に国民の士気維持のための活動もさせる

●上記戦略には陸軍の作戦コンセプトの転換が必要。高劣度の通常戦重視から、都市部での非対称近接戦に比重を移したコンセプトへの転換が求められる。
●究極的な目標は、中国側に台湾の占領が多大な犠牲と時間が掛かる企てであることを認知させ、国際社会の介入の時間を稼ぎ、中国に方針転換を強いることにある


「見えない戦い」による戦闘能力増強
●過去数年間、中国軍の指揮統制、通信、ISR、戦果確認能力等を攻撃して破壊することの是非について、米国内で議論が重ねられている

●なぜなら上記の効果を得るためには、中国本土に対する米軍による直接攻撃が必要になるが、そのような攻撃は事態のエスカレーションを招き、最終的に核戦争に発展する可能性があるとの懸念が根強いからだ
●しかし、台湾の場合にはその懸念は必要ないだろう。台湾の場合、中国との軍事紛争はすぐさま国の存在を脅かす事態に直面するのだから、中国軍の指揮統制システムやISR網への攻撃に躊躇は不要だろう

●中国軍の戦場ネットワークを混乱させることは、中国軍の作戦遂行を困難にさせ、実戦経験の無い彼らの自信を挫くだろう
●台湾軍が中国軍のネットワークを麻痺させ、攻撃的サイバー攻撃を行えれば、潜在的な抑止力を高め、更なるコストを中国軍に課すことが出来るだろう

「Hard ROC 2.0」を概観して
●現に存在する台湾国防予算計画額を基礎に、予算面で実現可能性のあるオプションを提示した。提言した軍事戦略を良く融合して実施すれば、中国に対し軍事行動が高い代償を伴うことを認識させ、結果的に抑止力を強化できる
●本提言では台湾が自国で製造できる装備を活用することで、米国への武器依存から脱却できる方向を示した。また、防衛的な装備が大部分で、米国の支援も得やすく、中国からの反発を招くレベルも低いだろう

●本提言は地域の他国にも適応可能だろう。南シナ海を取り巻くベトナム、フィリピン、インドネシア等である。この戦略を共有することにより、台湾とこれら諸国の関係を強化して連携した対応が可能になるかもしれない
●しかし何よりも重要なのは、根本的に新たな国防戦略の採用を決心することにより、ワシントンと台湾国民に対し、台湾が自国の防衛に強く引き続き関与しているとのシグナルを発信することである
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先に触れたように、レポートのサマリーを読む限り、台湾が投資している戦闘機や艦艇や潜水艦が、中国の大規模初動攻撃に極めて脆弱であり、短時間のうちに戦力として存在しなくなる可能性が高いことに言及はありません
大変重要な大前提だと思うのですが、CSBAにもこの点を強調できない「大人の事情」があるのでしょう。強調しなくても自明の事実でしょうが・・・

ベトナム戦争での米軍の対応と中国軍の対応を同様に見積もるのは、情報分析の世界で戒められる「ミラーイメージ」の過ちの可能性もあります。
またSAMの出し惜しみに関し、台湾の重要インフラ(発電、通信、ダム、交通)がどれだけ耐えられるか、には疑問も残ります

また、実際に小さな台湾が、国土を戦場として戦い続けられるか、必要な物資補給が得られるか、国際的な支援がどこまで期待できるか等々については、決して楽観できない論点かもしれません。

しかし何度も申し上げますが、本戦略提言の背景には、今の戦闘機や潜水艦の近代化では十分な抑止力にはならないとの「止むにやまれぬ」思いがあります。完全ではないけれど、今の方向性では米国や台湾国民の信頼が得られないし、台湾のやる気が疑われますよ・・・との警告でもあります

それが最後の「ワシントンと台湾国民に対し、台湾が自国の防衛に強く引き続き関与しているとのシグナルを発信すること」との締めに表現されています
これは間違いなく、遠くない将来、日本にも向けられる問いだと思います
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更に申し上げれば・・・
日本対しても、既に同様の提言が!!!

2014年9月、中国軍の権威である米海軍大学のヨシハラ教授は、CNASから日本への軍事施策提言レポートを発表し、日本に非対称戦でA2ADを目指せ、現在の国防政策や装備品整備の方向は不適切だと警告しています
http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-09-18

その結論は端的に言うと
●日本は、中国の攻勢能力に専守防衛では対処できない
●称賛に値する(自衛隊の)戦術的職人技は、不釣り合いに高価で、発揮困難
対称戦は、敵に対して財政的・技術的優位を持つ大国のやり方。日本にそんな余裕はない

つまり、日本もA2AD戦略を採用し、中国軍の初動を邪魔して米軍の増援部隊が戦域に到着するまでの時間を稼ぎ、中国にA2AD遂行のコストを負わせよ、との提言しているわけです。

更に海上自衛隊については
Yoshihara22.jpg●中国の作戦計画者は、作戦当初に、嘉手納、岩国、佐世保、横須賀等の基地にミサイル攻撃を仕掛ける。つまり、日本の現在の防衛態勢は、中国が日本にだけ多大なコストを課すことを許容している。
●例えば海自の対潜能力ASWは世界第二の固定翼ASW戦力を持つが、中国のミサイル攻撃に脆弱だ。ASWの例は、海自が劣勢な分野のひとつに過ぎない
●海自は「ひゅうが」や「いずも」といったヘリ空母へ投資しているが、中国のミサイル攻撃の格好の標的となる。

そこで「日本による接近阻止戦略」を提案
●潜水艦戦 ●機雷戦 ●小規模艦艇による防衛 
●沿岸配備の各種ミサイル ●抗たん性強化 ●分散と代替施設確保
の分野でそれぞれ提言を行っています

関連する主張は他からも
「森本元防衛大臣の防衛構想」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-09-05
「CSBA:陸軍にA2ADミサイルを」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-05-14

「戦闘機の呪縛から脱せよ」→http://crusade.blog.so-net.ne.jp/2013-04-16
「脅威の本質を見極めよ」→http://crusade.blog.so-net.ne.jp/2012-10-08

オリジナルは「東京の郊外より」です!
CSBAが台湾に新軍事戦略を提案 日本も学べ
その1:総論→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-12-27
その2:各論:海軍と空軍へ→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-12-27-1
その3:各論:陸軍と新分野へ→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-12-27-2
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作戦サイクルなど機能するのか?

作戦サイクルなど機能するのか? Ver.2

日本の戦略的・地政学的位置取りを念頭に中国の軍事的脅威を素直に見つめる時、日本が被害状況下を想定して軍事作戦を準備しておく必要があると繰り返し述べてきました

しかし米軍は、予算的制約とイラク&アフガンでの疲弊から、対中国の新たな環境に十分に向き合えていません。有識者や専門家が指摘し、各種ウォーゲームの結果から明らかにもかかわらず、従来の「心地よい」戦い方から抜け出せずにいます

本記事ではその典型的一例として、米軍が20年以上も変わりなく行っている「作戦サイクル(ATOサイクル)」方式による作戦運用を取り上げ日本がその方式に盲従して現実を直視しない姿勢を嘆き、中国正面での作戦計画方式のあり方を考えます。もちろん完璧な代替案を提示できる段階にはありませんが、一石を投じるつもりで・・・


問題意識
●朝鮮戦争以来60年以上空襲を受けたことがなく、敵の遠方攻撃や防空能力を無視できたイラクやアフガンでの10年以上の戦いのイメージから抜け出ていない米軍は、中国のA2AD戦略が生み出す戦いの変化を十分組織として認識できていない。
●米国防省の諮問機関や外部専門家が指摘するように、米軍が作戦面で最も意識改革を求められているのは、相手から攻撃を受けない「聖域」での活動を前提とせず、自らの基地や装備が「被害を受ける前提」で作戦を考える姿勢である。

「被害状況下で訓練せよ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-10-23
「国防科学委員会の警告」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-02-10-1

●一方で、米国政治レベルの「アジア太平洋リバランス」政策(かけ声先行)を受け、中東からアジア太平洋に急なシフトを米軍は迫られているが、従来の作戦遂行パターンをイメージして動いている。現場レベルで特に顕著
●国防省のエアシーバトル推進室が昨年11月に整理した課題10項目も、この辺りの意識改革の必要性を訴え、危機感を持って対応を検討している。

「ASB推進室の取り組み」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-11-04 

(ご参考:課題10項目:6項目が被害対処を意識)
・Cross-Domain Operations Command-and-Control
・Undersea Warfare Supremacy
・Attack Operations to Defeat A2/AD
・War at Sea

・Active and Passive Defense
・Distributed Basing
・Contested ISR
・Contested Logistics and Sustainment
・Contested Cyberspace Operations
・Contested Space Operations


強制削減に直面する米軍の混乱
●元来保守的な性格を持つ軍事組織にとって、自由に行動できる環境から敵脅威の制約を受ける環境への対応だけでも大きな課題だが、これに加え、今は更に不透明性の高い国防予算の強制削減への対応も迫られている
●これら中国の脅威増大と予算削減に備えるため、大統領が発表のDSGを基に、国防省としてSCMRを行い、戦略的&優先事項を明確にしたアプローチを目指そうとしている

「SCMRの結果発表」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-08-01

●しかし現下の厳しい環境で各軍種が行っている方向性は、脅威の変化や新たな脅威対処の名を借りつつ、現在の組織内で力を持つ勢力に都合が良い、組織や職域防衛的な匂いを放っている
●米空軍によるF-35計画への極端な過保護政策しかり、米海軍による空母艦載無人偵察攻撃機UCLASSの要求性能議論の迷走しかりである。
●その他、米海軍が鳴り物入りで導入を開始し、アジア太平洋リバランスにおける「なけなし増強施策」の対象だった沿岸戦闘艦LCSの調達隻数を52から32隻まで削減するなど、目指すべき統合作戦の絵姿が揺らいでいる

「亡国のF-35」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/archive/c2302846744-1
「米海軍のNIFC-CA構想とは」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-01-26
「米艦艇をNIFC-CAで守る」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-04-27


合理的な米軍の避難訓練と見えない日米共同
●中国のA2ADへの対処案で揺れている米軍だが、中国の弾道ミサイルや巡航ミサイルの脅威とその増強ぶりは十分に把握している。単純だがその数量で侮れない無人機や、米防副長官が通達を出して対処を訴えている電子戦能力にも危機感を抱いている。サイバーや宇宙戦能力もしかり
●従って「いざ有事」の際の避難計画や避難先の確保には取り掛かっている。これらの行動を同盟国の一員として非難する気持ちはさらさら無く、軍事的合理性に基いて強靭性を高めるため、着実に進めてほしいと願う

有事に備えた米軍の避難訓練
「18機の嘉手納F-18が避難訓練!?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-08-23-1
「Wake島へ避難訓練」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-07-04-1

グアム島基地の施設強化策
「グアムの抗たん性強化へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-04-30-1
「グアムで大量死傷者訓練」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-02-08-1
「グアム基地を強固に」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-04-12

米空軍戦力の分散訓練
「アジア版Checkered Flag」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-03-04
「テニアンで作戦準備」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-06-05
「米と豪が被害想定演習を」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-08-02

●同時に、米軍人の心情面や表面的な姿勢はともかく、推定5回にも及ぶ本格的な日米軍統合のIAMD演習(海軍大学がシナリオ担当の本格的シミュレーション)で、日本防衛の難しさが極めて難しくなっていることは十分認識されていると思われる。

「日米軍が統合でIAMD演習」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-02-22

●脇道にそれるが、今後のガイドライン見直しの細部議論で気になるのは、尖閣でのグレーゾーン事態に際し米側は「日本が正面に立ち、米側は後方支援」との姿勢を明確にするようだが、グレーゾーンから事態が拡大した際、米側が態勢を取れるのか?との疑問である。 うがった見方だが、グレー事態で戦力を一旦分散又は後退させたら、もう二度と戻る場所はないのでは・・との懸念である
●これは日本側から見た「懸念」だが、米軍はその流れを自然に利用し、軍事的合理性に基づき「日本から巧みに転進」を成功させるのかもしれない

「Front & Back Office概念で」→ http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-01-25

●そんな中でも日本が「F-35だけ防衛力整備」を継続する姿勢にはマイナスの感嘆だが、明々白々な戦闘機の重要性低下や「必要戦闘機数の算定根拠の不透明感」の中で、空しさを感じながら勤務している戦闘機操縦者以外の無念が胸に迫る


身近な問題「作戦サイクル」に目を向けると
(参考→http://www.jaaga.jp/jnakajima08b.html
2008年11月20日、航空自衛隊の運情部長 中島空将補はJAAGAとのOB団体で「米軍再編と航空自衛隊の部隊運用について」講演し、府中から横田への司令部の移動(脆弱性を増し、強靭性を低下させる愚策)を以下のように表現している

●「現在、米軍との共同作戦の実効性を高め、かつ総隊として対処すべき任務の多様化に対応するため、従来のように事態生起に対応し開設していたCOCを改め、米軍が実施している24時間恒常的に実施する作戦サイクル(ATOサイクル)を導入し、こうした活動を行うAOC(Air Operation Center)を総隊司令部に常時開設し機能強化を図る方向で検討をしている。そのモデルはCAOCC、ケニーHQ等である」
●COCは話の流れから現在の「総隊の作戦センター」を指すのだろう。CAOCCは、イラク戦争の際にカタールに設置された連合の統合作戦センターである

●問題はここで言及されている作戦サイクル(ATOサイクル)である。Wikipediaによると「ATO」とは、作戦センターで作成される空軍作戦を指揮する命令で、「24時間の飛行計画を定めたリスト」である。コールサイン、航空機タイプ、任務(CASや空中給油や目標攻撃等々)が記されたものである
●そして作戦サイクル(ATOサイクル)がその有効性を発揮したのは、20年以上前の湾岸戦争でクウェートを侵略したイラク軍を追い払う作戦からであり、IT技術を独占し、衛星通信を含めた精緻で妨害のないネットワーク環境を確立して維持できた環境下のみである。

●「ATO」とは、明日実施する作戦を少なくとも24時間前には決定し、それを各前線部隊に徹底するものである。これは自分たち友軍が「上から目線」で敵情を把握し、敵からの攻撃やそれへの対処を考える必要のない「聖域」で、作戦前日にお茶でも飲みながらじっくり策を練る手法である
●この「上から目線」な戦い方こそが、米軍の「脅威の変化を理解出来ていない」「過去の戦い方に囚われている」「研究者レベルの警告が生かされていない」状態を端的に表している


もう一度、冷静に考えよう
●米軍が作戦面で最も意識改革を求められているのは、相手から攻撃を受けない「聖域」での活動を前提とせず、自らの基地や装備が「被害を受ける前提」で作戦を考える姿勢である。
●もとより軍事組織は平時の意識改革が苦手である。更に米軍は今、強制的かつ将来の予見が困難な予算の削減に直面している。残念ながら本状況下、中国の急激な軍事力増強を前に、米軍の戦い方の変革は混迷の中にある

●また、エアシーバトル論とオフショア・コントロール論の論争で明らかになったように、対中国戦で中国本土への攻撃は一段高い判断を要するオプションである。つまり対中国の戦いは、作戦サイクルが念頭に置く「攻勢作戦」が中心とは考えにくい。むしろ受動的反撃作戦が中心になると考えるのが自然だろう

「ASB論VSオフショア・コントロール」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-08-24
「オフショア・コントロールを学ぶ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-03-13
「ASB批判に5つの反論」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-07-17
「オフショア・バランシングを学ぶ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-02-27

●相手の猛烈な弾道/巡航ミサイル攻撃の被害に耐え、生き残ったISR情報を基に柔軟で臨機応変な反撃が求められるだろう。そしてその際、24時間の戦いを事前に固定する作戦サイクルのような「上から目線」な戦い方は、百害あって一利なし、である。
●わが国はどうか? 脅威の変化の最前線に位置し、その変化に日々直接接する立場にありながら、極めて鈍感である。「専守防衛」と「憲法9条」の日陰で育成されたことを言い訳に、いつしかその環境を組織防衛の「温床」に変え、厳冬の冬に布団から抜け出せない怠け者のように変化を避けている

「20年前を目指す航空自衛隊」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-01-03

●空軍操縦者が抱く過去の戦いへの憧れそのままに、航空自衛隊の戦闘機パイロットは、未だに20年前の米空軍の姿(湾岸戦争)を夢見て作戦サイクルにしがみ付いている。
●米軍の陰に隠れ、「温床」での生活で退化した戦術眼の背景には、現在保有する戦闘機を1機たりとも「無駄」だと言われないよう演出する戦闘機操縦者のDNAがあるが、更にさかのぼると根拠なき必要戦闘機数の算出とその数への固執がある


脅威の最前線にある日本が主導せよ
●作戦サイクルを否定しても、何らかの計画システムは必要だろう。しかしそれは「上から目線」や立派な作戦室から生み出されるものではないだろう。被害状況に応じ、作戦権限を段階的に前線組織に委任し、最後は独立戦闘まで想定した構想が必要だろう
●自らの基地や装備が「被害を受ける前提」に立てば、戦闘機中心の体制が如何に無力か自明であり、より粘り強くあるためにはどこに投資すべきかも自然と導かれるだろう。より一元的統制が難しい環境下で、何を重視して作戦するかの議論が求められる

●もちろん「夢の作戦サイクル」よりは効率性や有効性は低下するだろう。しかしそれが現実である。現実を直視してこそ、見えてくるものがある。
●予算の見通しもなく、現有戦力の大規模廃棄まで迫られている米軍に現実直視を求めるのは酷である。脅威に直面する日本が考えなければならない。「専守防衛」と「憲法9条」の下で培った「特異なまでに巧妙な阿吽の呼吸を活用した戦い」を進化させ、単純なマニュアルに昇華させる努力が求められる

●「上から目線」の戦いから「被害を覚悟した」戦いへの変化で米軍をリードし、このノウハウを持って日米共同軍事作戦や対中国多国籍軍作戦の「操舵室」で確固たる地位を確保し、極東や東アジアを知る国家として作戦をリードできる地位を目指すべきである。誰かが言っていた「活米」の概念もこの流れであろう
●巨大な大陸国家と島国の力関係は残念ながら明らかである。腹をくくってことに当たらないと、米戦略家に「台湾にさよならと言おう:Say Goodbye to Taiwan」(http://geopoli.exblog.jp/22525129/)と同列の論文を発表されかねない

●脅威の変化の最前線にある日本こそが変化を示し、その気概を示すべきである。世界の軍隊が抜けられない「しがらみ」や「ワンパターン」から脱却し、日本のアイデンティティーを打ち出し、アイディアで欧米アジアをリードすべきである。

●そしてその大前提に、「戦闘機だけに投資」&「戦闘機操縦者のみ優遇」組織からの脱却が必要である

CSBAによる最新のエアシーバトル解説
http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-03-15

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防衛構想や防衛力整備を考え直そう!!!

現状認識を再確認
●中国が各種ミサイルや電子戦やサイバー宇宙戦を緒戦で多用することを考慮すれば、被害状況下での戦いを初動から強いられる日本で、戦闘機クラスを中心とした作戦構想は極めて脆弱で非効率
●現状の日本の装備体系は、戦闘機の機数だけが揃い、搭載兵器や搭載機器、更には全ての作戦実施の基盤となるISRや強靱な指揮統制や電子戦等々の基礎・支援分野(現状欠落分野)が極端に貧弱。
●これは戦闘機の機数維持だけを優先し、いざとなったら「現状欠落分野」は後で「緊急取得する」との言い訳の上で進められてきた結果。ただ、緊迫度が高まる今になっても、新しい大綱や中期防は、財務省と防衛省の妥協の産物であり、相変わらず「戦闘機だけ」の防衛力整備が健在


現在の法的制約をどう考えるべきか?
●日本の地政学的位置や兵器技術の発達を考えれば、日本がこのまま専守防衛を守ったままで国防を考えることは極めて非効率。しかし一方で、専守防衛や憲法問題の解決には今しばらくの時間が必要
●ただし、昨今の中国による強引な対外姿勢は日本の国防への国民感情を変えつつあり、国防関係者は近い将来における専守防衛や憲法問題の解消も念頭に、長期的視点で国防構想や装備体系を検討すべき


現状に捕らわれず、将来を考えよ
●現在の制約を離れて日本の国防を考えるとき、弾道ミサイルを含むスタンドオフ兵器や対空対艦対地誘導兵器による「日本版ミニA2AD」は有力案であり、戦闘機一辺倒よりも遙かに山岳地形を生かして強靱性があり抑止効果も大。
●これに無人ステルス攻撃機やISRや抗たん性ある指揮統制能力、更にはサイバー攻撃や電子スペクトラム戦の能力を加え高めることで、戦闘機一辺倒の極めて脆弱な「見せかけの国防」から、より効率的で有効な抑止力獲得への変革が可能と思料される


F-35導入や戦闘機偏重の問題は?
●米国の予算状況からF-35調達機数の削減決定は時間の問題であり、その結果、調達機数削減→価格の高騰→海外調達機数の削減→更なる価格の高騰→生産機数の削減・・・といった「死のスパイラル」入りは時間の問題
●日本の財政状況を考えれば、一端F-35を中心に据えると、「死のスパイラル」入りしたF-35の維持だけに防衛費をつぎ込むことになる可能性大で、戦闘機を含む全ての作戦の基盤になるISRや強靱な指揮統制や電子戦等々の「現状欠落分野」への投資は中途半端になる可能性大


国民感情が過渡期にある今こそ
●国防への国民感情が過渡期にある中、従来の専守防衛・憲法議論の中で重視されてきた「戦闘機だけ」思考から決別し、弾道ミサイル等のスタンドオフ兵器や対艦対地誘導兵器による日本版ミニA2ADも念頭に置いた構想実現に向け、現時点で極端に貧弱な「現状欠落分野」への投資にも軸足を移すべき
●そのためには、まず脆弱で有事の有効性が疑問な戦闘機体制を削減見直し(F-4戦闘機即時廃棄、F-35導入見送り、ステルス無人攻撃機等の動向を見極め)し、陸上自衛隊も大幅削減し、現法制化で可能な「現状欠落分野」への投資を加速すべき。

●知恵を絞り、現政策的制約下でも「日本版ミニA2AD」に向けた布石を打ち、制約克服の後は戦闘機を脇役にした日本独自の米軍からの借り物でない防衛構想に基づいた体制整備に直進すべき。
●中国という極めて狡猾な国(空母やステルス戦闘機を見せつつも、各種ミサイルやサイバー等々の分野でA2ADをリードする国)を前に、所詮、遠方に離れ戦いのコンセプトが異なるはずの米軍の受け売りでなく、同じ船の操舵室に入ってリードする位の主体性を持って考えるべき。組織防衛ではなく


20年も前にタンカーやAWACSを導入したじゃないか!
●まだ中国の脅威がほとんど意識されていない90年代にも、明らかに外征的性格を帯びた空中給油機やE-767AWACSの導入に知恵を絞ったではないか! 「戦闘機命」の思想から脱却すれば、これまで抑圧されてきた「非戦闘機操縦者グループ」から知恵があふれ出てくることは間違いなし!
●日本版ミニA2ADには、当然陸上自衛隊を活用する。陸自4万人を削減して資金を捻出し、更に2万人を各種ミサイル部隊に充当するぐらいの方向転換が望まれる

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書籍「失敗の本質」の視点で「今」を見る

1984年に出版された書籍「失敗の本質」は、ノモンハン事件、ミッドウェー作戦、ガダルカナル作戦、インパール作戦、レイテ沖海戦、沖縄戦と第二次世界大戦前後の日本の主要な失敗策を通じ、日本軍の失敗の原因を追究する手法に、歴史研究と組織論の視点を組み合わせた学際的研究書です。

大前提として「大東亜戦争は客観的に見て、最初から勝てない戦争」だったとしつつも、それでも個々の作戦ではもっと良い勝ち方、負け方があったのではないかとの疑問を著者等は持って分析に臨んでいます。
そして各作戦の失敗は、日本軍の組織特性によるのではないかとの「仮設」を証明する形で、戦争史に対し一部難解な組織論分析が行われます

本書の構成は

序章 日本軍の失敗から何を学ぶか

1章 失敗の事例研究 1 ノモンハン事件-失敗の序曲
2 ミッドウェー作戦-海戦のターニングポイント
3 ガダルカナル作戦-陸戦のターニングポイント
4 インパール作戦-賭の失敗
5 レイテ作戦-自己認識の失敗
6 沖縄戦―終局段階での失敗

2章 失敗の本質・・・戦略・組織における日本軍の失敗の分析
3章 失敗の教訓・・・日本軍の失敗の本質と今日的問題

防衛大学校に勤務する戦史研究者と野中郁次郎などの組織論研究者との共同研究によって生まれた本で、現在までに50万部以上を売り上げたこの種の書籍では異例のロングセラーです。

ただ、出版された当時から戦史個々の事例解釈や分析には様々な批判があり、出版後30年間の戦史研究で明らかになった多くの新事実を踏まえ、本書を批判的に見ることも可能ですし、そのような意見も耳にします

しかし一方で、初版出版から30年が経過する今も、2012年に野中氏が続編的な「失敗の本質 戦場のリーダーシップ編」を発表し、ビジネス書としての解説本が新たに出版されるなど、いまだ多くの人を引き付けているのも事実です

本書は、冒頭紹介の6つの事例研究を通して日本軍の組織的な敗北に迫るものですが、人気の背景には、細かな史実の描写や分析より、全体を俯瞰した分析に「あの頃と何も変化していない」との思いを現代の読者に強く抱かせる力が在るのだと思います

そこで新年にあたり、本書が描き出した「失敗の本質」を「今」を見る視点として活用し、まんぐーすが思う事を綴らせて頂きます。いつものように勝手に呟きますが、何かとため息の出る騒がしさの「箸休め」に、ご活用いただければ幸いです

まず、視点となる同書が指摘の「失敗の本質」とは

大きな結論
●日本軍は環境に過度に適応し、官僚的組織原理と属人ネットワークで行動し、学習棄却(知識を捨てての学び直し)による自己革新と軍事的合理性の追求が出来なかった

細部の分析
●作戦目的が曖昧で多義的があった。つまり、大本営の考え方と末端の組織の考え方に統一性無し。
●戦略志向は短期決戦型で、戦略策定の方法論は科学的合理主義というよりも独特の主観的微修正の繰り返しだった
●戦略オプションは狭くかつ統合性が欠如。雰囲気で決定した作戦には柔軟性はなく、敵の出方等による修正無し

●本来合理的であるはずの官僚主義に人的ネットワークを基盤とする集団主義が混在。人情を基本とした独自の官僚主義を昇華
●システムよりも属人的統合が支配的であった。組織よりも、作戦の責任者たる人間の才能により成功・不成功が支配

●資源としての技術体系は一点豪華主義で全体のバランス欠如。列強は航空機攻撃を中心も、日本は戦艦での艦隊決戦を中心に
●学習が、既存の枠組み内でのみ強化され、かつ固定的。そして業績評価は結果よりもプロセスや動機が重視

蛇足ですが本書の読者書評には
●このような組織特性をなぜ日本軍が身に付けたのか?。種々の見方があるが、第一次大戦のような勝者敗者双方に手痛い教訓を残すような近代戦を経験せず、近代戦に臨んだからとの見方もある
●ノモンハン事件でのソ連連軍司令官は「日本軍の下士官兵は頑強で勇敢であり、青年将校は狂信的な頑強さで戦うが、高級将校は無能である」と評価した

●日本軍は日清、日露戦争への適応を進めそれに特化してしまった結果、組織内に多様性を生み出す「緊張」や「変更」を望まない、極めて安定志向の組織のまま不確実性の高い戦争へ突入して行った
●現場の声や失敗から得られた知識をフィードバッグして自己革新することが出来ないシステムになり、同じ失敗を何度も繰り返した。極度の特化から生じる問題だ
・・・等々の指摘が
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「大結論」にまんぐーすが「今」思う事
●「環境への過度の適応」との言葉に思うのは、専守防衛や憲法9条の生み出す特異な環境にあまりにも特化し、その中で生き延びる思考パターンをDNAレベルにまで刻み込んでしまっていること
●特異な環境下で国防組織を存続させるため、「官僚的組織原理と属人ネットワーク」を駆使してきた結果、「特異な環境」だけに有効な「官僚機構と属人ネットワーク」を極めて強固なものにしてしまったこと

●強固な「官僚機構と属人ネットワーク」は、文民組織だけでなく、「特異な環境」で生き残りを強いられた軍人組織にも生まれ、そしてDNAレベルにまで浸透したこと
●「官僚機構と属人ネットワーク」は急激な環境の変化への対応や危機管理への対応を苦手とするが、正に今の日本は中国と米国と軍事技術拡散の3面からの急激な変化にさらされ、変化を求められていること

●軍人組織のDNAレベルにまで浸透した「特異な環境下で国防組織を存続させるため」の思考パターンは、学習棄却(知識を捨てての学び直し)による自己革新と軍事的合理性の追求をほぼ不可能にしていること
●その結果、「今」の日本の軍事組織には、以下のような顕著な「負の側面」が確認できる。陸上自衛隊の「なりふり構わぬ国防無視の組織防衛」、海上自衛隊の「統合議論を徹底的に回避する組織風土」、航空自衛隊の「戦闘機数の維持だけが組織目的」といった組織風土である


「細部分析」にまんぐーすが「今」思う事
●欧米の衰弱と中国の対等という戦略環境の大きな転換の中で、初めて「国家安全保障戦略」作成に取り組んだ日本だが、必要な項目立てを列挙した程度であり、まだまだ安全保障を自然と語る風土は育っていない
●従って、一般国民レベル、政治レベル、現場レベル間での対中国戦略への意識のずれは当然大きい。これを受け、現場レベル内部でも、政治レベルとの接点を持つ中央と中国と対峙する前線との意識が、不測事態対応の観点で統一されているとは考えにくい

●戦略的環境の変化とあわせ、急速に進む戦術レベルでの技術革新とその拡散に、官僚組織と属人ネットワークは「主観的微修正の繰り返し」で対処を試みるのみ。2013防衛大綱で示された、戦闘機の偏重(機数の維持のみに固執)や陸上自衛隊のポストや定員や戦車や歩兵への固執が顕著な例
●脅威や環境の変化を警告する一部の声に対しても、組織としてシステムとしての対応が出来ず、従来の「特異な環境」に適応した声の大きい属人的判断や、人情重視の集団主義に導かれた表面的微修正でその場しのぎ

●「亡国のF-35」の問題を認識しつつも現状打破への突破力を生み出せない軍人の官僚的集団主義は、バランスを欠く誤った一点豪華主義へと傾倒、例えば国産の有人ステルス機開発への固執と戦闘機パイロット確保育成偏重はその典型。
●また、離島防衛を海空自衛隊の迷惑も顧みず前面に押し出し、自身の組織防衛ために「海兵隊機能」を盾にし、時代錯誤の地上戦力「増員」をむしりとった陸上自衛隊もバランス欠如の典型

●第1次世界大戦のような近代戦を経験せず、「日清・日露戦争への適応に特化」したまま不確実性の高い大東亜戦争に突入した旧軍のように、学習棄却(知識を捨てての学び直し)による自己革新と軍事的合理性の追求から目を背けている現状
●目の前の事態への対応の多忙さを「言い訳」や「隠れ蓑」に、結果よりも「旧来環境パラダイム内」でのプロセスや動機を業績として評価し、組織内での議論を避け、一部属人的ネットワーク内での意思決定を偏重するのも特徴

●人があり余り、小銃捜索に8万人も投入できる「余裕たっぷり」の陸上自衛隊が、人材を多様な研究に投入し、対外発進可能な人材を育成しているのは究極の皮肉で、すでに日本の国防組織は「死のスパイラル」に入っているのかもしれない。

ロバート・ゲーツ語録
→海兵隊兵士に→将来、仁川上陸作戦のような大規模な着上陸作戦が実行可能か、との疑問を持つのは自然なことだ。相手の精密な巡航ミサイルや弾道ミサイルを考えれば、着上陸作戦の発起点は益々遠方になるhttp://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-08-16

国防省で制服幹部をたしなめている。陸軍は未だにフルダ・ギャップでの戦いを望むのか? 海軍はまだミッドウェー海戦を夢見ているのか? 海兵隊は仁川上陸作戦をもう一度なのか? 空軍は単に飛んでいたいのか?→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-10-02

→海軍は空母が支配し、戦闘機と爆撃機が空軍を支配し、戦車が陸軍を、そして着上陸用車両が海兵隊を支配しているのが実態である。→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-04-09

ロバート・ゲーツ(Robert M. Gates)語録100選
http://crusade.blog.so-net.ne.jp/2013-05-19
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このところマンネリ化が激しいと自戒していますが、個人の思考の範囲はこの程度です
でも、「失敗の本質」が指摘した歴史研究と組織論の視点を組み合わせた分析は、恐ろしいまでに今日的意味を持っているように思えます

ぼんやりと同書が指摘した「大結論」と「細部分析」を眺め、思索をめぐらせていただければ幸いです。

陸上自衛隊を非難する!
「ブラックホール化する陸上自衛隊」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-12-23
「後半:失敗の本質から見る今」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-12-31-1
「中澤大佐が南西諸島で組織防衛」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-12-10

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主要記事のリスト(2012年11月~2013年6月)

主要記事のリスト(2012年11月~2013年6月)

以下のジャンル別に掲載しています。
記事は新しいものから順に並んでいます

★米国防政策及び予算関連
★アジア太平洋政策
★米空軍の話題

★F-35関連動向
★中国の軍事
★日本の安全保障政策関連

★兵器技術
★サイバーの話題
★無人機の話題

★安全保障全般の話題


★米国防政策及び予算関連
米ミサイル防衛庁の中将が連名で上院軍事委員長のレビン議員へ書簡を送り、某議員要求の「米東海岸にミサイル防衛基地を設置する軍事的に有効な理由は存在しない」と主張 議員のご乱交をご紹介→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-06-12

強制削減対応で2013年度予算の再編成権を軍に与えてくれとの要求です。装備の近代化を後送りし、前線部隊の活動費や飛行停止部隊に最低限のフライトを実施させるための予算を確保したいようです→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-05-26

25名の主要政策シンクタンク研究者連名の「公開書簡」です。3日公開の国防長官や議会軍事委員会メンバー宛レターは、議会や政治の怠慢により放置されている軍の問題を指摘し、改革を求めるもの。→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-06-06  議員には耳の痛い話

米軍予算の議論に登場する「military compensation」について、読者の方から詳しく分かりやすく教えていただきました。この記事の末尾に追記しました→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-06-06  幸甚です!

4大政策シンクタンクによる国防省の戦略レビューSCMR(強制削減対応:5月末期限)に対する事前提言 競い合うシンクタンクが同じステージで堂々と政策を議論しあう「うらやましい」の試みです→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-05-30

オバマ大統領の対テロ戦争縮小演説をまんぐーすの視点でご紹介。発表内容は無人機による暗殺作戦への制限強化やグアンタナモ収容施設の閉鎖等ですが、そこに至る考え方や「説明振り」に注目。いつか対中国にもこの論理展開が?→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-05-25

米陸軍トップによるミサイル防衛重視発言→「アジア太平洋地域を中心とした世界中でミサイル防衛要求が高まりつつある中、陸軍のポートフォリオを再検討する根本的なレビューを行っている」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-05-17

CSBA副理事長が主張→米陸軍は戦車や大砲中心から、米国版A2ADを構築する地上ミサイル部隊へシフトせよと→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-05-14 米陸軍に衝撃を与えたエポックメイキングな論文

フォーリンアフェアーズ誌掲載の衝撃的正論。米陸軍は戦車や大砲や歩兵中心から、米国版展開地A2ADを構築する地上ミサイル部隊へシフトせよとのCSBA研究者論文です→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-05-14  もちろん陸自もそうするべき!

CSBA副理事長は論文の結びで→戦艦が空母に取って代わられたように、装甲車両と機械化歩兵が支配する時代は終焉に向かいつつある。これに抵抗するのではなく流れをつかむことが、陸軍の有効性を確保する道→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-05-14  陸自もよく考えて

CSBA副理事長→陸軍は第一列島線沿いの日本から南西諸島やフィリピンまで対艦ミサイルや隠蔽可能なミサイルを展開でき、中国海軍の行動の自由を奪うだろう →http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-05-14  よくぞ言ってくれました!

米韓同盟60周年記念の大パーティー模様と主賓ヘーゲル長官スピーチ。韓国大統領はチョゴリ姿でホステスを勤め、米国防省幹部を歓待。スミソニアン絵画館を借り切る韓国パワーと韓国大統領の必死さを写真でご紹介→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-05-09

米韓同盟60周年の祝宴で主賓ヘーゲル長官がスピーチ→「我々はこの軍事同盟を世界的同盟に拡大していくことにコミット。世界中で協力したい」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-05-09  韓国も大変です

カーター副長官の講演。その中からヘーゲル長官命令による戦略レビューの検討枠組みについてと、宇宙で戦う宣言についてご紹介→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-05-08-1  結構重い講演です。ナショナル・プレスクラブにて・

国防省の戦略レビューSCMRの進捗状況について。3つの削減レベルに応じた案を検討し、特定の削減分野を決定するものではなく、優先順位やトレードオフの考え方の示すとか・・・→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-05-20

ヘーゲル国防長官就任後初の本格政策スピーチ。日本では北朝鮮発言だけがピックアップですが、本丸は国防省・米軍改革に。「賢明でなく、受け入れ難いことが明らかであっても大胆に変えざるを得ない」と→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-04-04

ヘーゲル国防長官による米本土の弾道ミサイル防衛強化の発表。15日、迎撃用ミサイルを2017年9月までに14発増強し、撃墜確率を5割アップと。北朝鮮の脅威をそこまで警戒しているとは→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-03-16

「オフショア・コントロールを学ぶ」です。防衛研究所が米国防大学とオフショア・コントロール勉強会をテレビ会議で開催したので・・・→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-03-13 エアシーバトルがあまりに過激で資金が必要なので、真綿で首を絞めるように・・

オバマ政権のシンクタンクとも呼ばれるCNASが米軍改革レポート第1弾→空母とF-35製造中止を提言→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-03-14

化学兵器使用で混迷深まるシリアに飛行禁止空域設定は可能か? 米軍への介入北が高まる中、米軍トップは「シリアの防空網はリビアの約5倍、セルビアの10倍洗練されており・・」 シリア防空力を吟味します→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-03-10

ヘーゲル新長官の着任メッセージと着任挨拶。「私の人生や職歴は、兵士諸君やその家族を支える事とともにあった」、「私が取り組む以上に、皆に仕事せよと頼むつもりもない」等々→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-02-28

サイバー戦における米政府初の中国名指し批判。11日、オバマ大統領の安全保障補佐官が講演で、中国による米国政府機関や民間企業へのサイバー攻撃を厳しく批判しました→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-03-14-1

強制削減の影響を訴える米陸軍参謀総長が、15日ブルッキングスで20万人削減の可能性や、アフガン派遣兵の訓練が不十分で交代が遅れる等々と語りました→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-02-17

米国防予算の強制削減に関するワシントンDCの雰囲気。再び辰巳さんの登場です。共和党の変化(たとえ現場が大混乱になろうとも)、国防省のあわてぶり、QDR見直し・・→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-02-09

ヘーゲル次期国防長官候補の公聴会。大荒れで刺々しい質問の応酬が異例の7時間も。その雰囲気をお伝えします。承認投票は今週です→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-02-02-2

パネッタ長官の退任式典。後任者が決まらず、強制削減は目前・・・大雪で式は室内で・・・なんとなく寂しい式典ですが、50年に及ぶ国家への貢献は色あせません→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-02-09-1

カーター国防副長官の欧州中東歴訪の記録です。パリ、ミュンヘン安全保障会議、トルコ、ヨルダン訪問。ミュンヘンでは欧州諸国に警告を発し、テロ直後のトルコに堂々登場。・→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-02-10-2

オバマ大統領による核兵器大幅削減の噂。NYT紙の報道によると、一般教書演説で言及の模様。既に米軍と大筋合意とか・・・。弾頭数を現在の1700発から1000発程度にまで・・→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-02-12

予算強制削減に備えた米海軍の対応策です。24日海軍トップが主要幹部に宛てたメモによると、艦艇、航空機や港湾施設の定期修理の中断、演習訓練の削減等。当面は可逆的なもののみというものの、2014年には出撃可能な空母がなくなると→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-01-26-1

米国防省が発表した女性兵士への地上戦闘職大幅開放。今後も全ての職域の開放可能性について精査を行うとか。オバマ大統領のリベラルな姿勢を反映した施策。機会の平等か、結果の平等か・・・→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-01-26

パネッタ国防長官の最後の政策スピーチ。勝手に題して「NATOよ、アジア太平洋に関与せよ」です。名門ケンブリッジで「米国と共にアジア太平洋への防衛関与を深化させると信じている」「共に戦うか、別々に戦うか・・・」と→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-01-19

パネッタ国防長官による最後の外国訪問。14日からポルトガル、スペイン、伊、英の4ヶ国歴訪に。既にポとスは終了し、両親の母国・伊に。ポでは大西洋上の要衝・アドレス諸島からの大幅米軍削減を→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-01-16

F-22戦闘機が初の追悼飛行を・・23日、ハワイで行われた故ダニエル・イノウエ上院議員の葬儀で・・・追悼記事→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-12-19   pic.twitter.com/uWEwI9ue

パネッタ長官のナショナル・プレスクラブ講演の続きです。益々複雑化する脅威の中で、どんな戦い方、どんな兵器を求めていくのかを語っています→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-12-21

岡崎久彦氏による対中国戦略 「西側にとっては経済封鎖が最大の武器であり、ASBは、そうした大戦略の中における効果的な補助手段として考えるべきだ」、「尖閣」等だけに絞ったような目先の議論が満開な中、正々堂々とした姿勢→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-12-09

4月25日にテキサスの飛行場で実施された航空基地占領訓練をご紹介。海軍のFA-18、空軍のB-1BとC-130、更に航空機を誘導指示するJTACも参加し、防空網を征圧し、落下傘部隊(模擬)が降下して占領→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-05-05

先日カーター国防副長官が発表した国防省の調達改革案の第2弾。「Better Buying Power 2.0」といわれる改革案を公開し、約2ヶ月間意見を募集するとか・・・。お手並み拝見です!→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-11-14

シンクタンクCSBAの新レポート。国防省予算の削減を見据えた削減及び優先投資分野を提言。議員から退役軍人、軍事専門家等による複数の机上検討演習を経た結論をご紹介 F-35は中止又は削減を提言→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-11-28



★アジア太平洋政策・エアシーバトル
米太平洋空軍が発表した新戦略。戦略と言うよりは「重視事項や心構え」と言った印象ですが、予算削減の中、これを重視して国防省のアジア太平洋リバランスを遂行するとのこと・・→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-06-13

国防省エアシーバトル検討室がやっと発表した公開版エアシーバトル文書。非公開版の「version 9.0」を実質12ページに要約したもの。睡魔を呼ぶ公式文書ですがなんと言ってもASBに関する「初の公式文書」です→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-06-07

2020年に予定する米軍の姿の内、約8割は今と同じである。今後獲得しようとする新たな能力は極めて重要だが、大部分の革新的な進歩は、今からの訓練、教育、人的戦力管理、そして指導力開発に掛かっている→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-06-07

米国防省のアジア太平洋政策を語る時、このヘーゲル国防長官のシャングリラ講演を避けて通れません。全般的考え方、地域同盟国等との関係、話題の国との今後、関心の高いトピックへの言及等々→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-05-31

16日発表された米海空軍トップ連名のエアシーバトル論文。オフショア・コントロール論台頭を意識したと推測される、ソフトなASBをアピール!「ASBでは必ずしも内陸奥深くの敵施設を攻撃するわけではない」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-05-21

第2弾の米海空軍トップ連名のエアシーバトル論文はソフトなASBをアピール?「アクセスへの脅威を排除し、人道支援や被害復旧を含む連続した活動への道を確保」、「米軍はA2ADに対し対称な手法をとる必要はない」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-05-21

米太平洋空軍の作戦計画部長のインタビュー。予算の強制削減の共同訓練への影響や、グアム島への大型爆撃機部隊のローテーション派遣の今後に関する部分をご紹介→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-05-11-1

PACAFの作戦計画部長→「同盟国等には、訓練の質を維持するため、数は減らさざるを得ないと説明。またこれまで2国間で行っていた訓練を多国間訓練に」、「同盟国が自国用に活用している能力を、地域の態勢維持のために活用」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-05-11-1

米空軍がグアム島基地の抗たん化:Resiliency強化に取り組む様子をご紹介。格納庫の強化、被害対処訓練施設の整備、基地機能強化部隊の配備など、プロジェクト計画を推進中→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-04-30-1  日本は相変わらず戦闘機だけ

米空軍2トップは議会で→「施設の分散と強化に際しては、多様な敵攻撃シナリオを想定している」と長官は語り、参謀総長は「アンダーセン基地は極めて重要であり、作戦を継続するなら施設強化は必要不可欠だ」と証言→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-04-30-1

韓国が核燃料再処理やウラン濃縮を許可するよう求めたが、米側は核拡散を懸念して拒否した話。24日、米韓原子力協定の来年3月末までの有効期限を2年間延長することで合意→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-04-25

遠ざかる米国の実態→中国や北朝鮮が極東で挑発行為に出る中、在日米空軍の作戦機は、戦闘機の3/4、警戒管制機の1/2が予算削減を理由に最低限の飛行時間予算しか与えられず→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-04-09

衝撃のデンプシー議長講演@防衛研究所。質疑で同大将は「(日本と韓国が)直面する脅威に対して相互運用可能な関係になるべき」と→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-04-28  米国とはそれぞれが高度の協力関係を築いているのに、日韓の間にはそれが無いと。痛いところを

「オフショア・コントロールを学ぶ」です。防衛研究所が米国防大学とオフショア・コントロール勉強会をテレビ会議で開催したので・・・→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-03-13 エアシーバトルがあまりに過激で資金が必要なので、真綿で首を絞めるように・・

太平洋軍司令官が議会で証言した強制削減の影響。リバランスの遂行に不透明感。また、地域情勢に詳しい文官職員に無給強制休暇で給料2割削減や旅費5割削減の荒技で、地域との関係崩壊も→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-03-06

空軍協会総会でのエアシーバトル:ASB討論会。ASBはクリスマスツリーの飾りじゃない、ワシントンDCの役人のペットではない、等々と海空軍高官による懸命の説明→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-02-23 変化への抵抗が透けて見える

米国防大学機関紙が掲載したエアシーバトルの背景となる中国軍事脅威の認識→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-12-28  「弾道ミサイルや巡航ミサイルは、戦いの初期段階において我々の飛行場、防空ミサイル基地、海軍機動部隊を迅速に攻撃する」

小論「エアシーバトルの実行」のご紹介。退役海軍大将が米国防大学機関紙に、3側面から同コンセプト実行の課題を指摘し、早急な対処を望む内容 国防省の準公式見解とも解釈可能か つまりこれが「米国の中国脅威認識」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-12-28

こんなシナリオが正夢にならないようにとの願いを込め、世界共通の中国軍事脅威観(日本を除く)の「元祖」を改めてご紹介・・・→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-12-30

米軍エアシーバトルの話。海軍空母機動部隊と空軍救難部隊がA2AD環境を想定し、空母が攻撃を受けた状況を想定して共同救難訓練。空軍救難部隊は海上で射撃訓練も。いつの間にか現場では着々と・・・→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-12-15

米豪関係の進展。今回は宇宙監視レーダーや望遠鏡の移設合意です。Cバンドレーダーと衛星の写真が撮れる高性能望遠鏡。南半球とアジアに初の設置で、宇宙監視組織が格段に向上と→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-11-15

米国とタイの軍事同盟が50年ぶりに公式ステートメントを発表です。なんとこれまで最新だったのは1962年の「共産主義と戦う」との声明だったとか。でもこの同盟が錆付いていたわけではありません・・・むしろもっとも活発な→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-11-16

パネッタ長官アジアツアーの最後、16日カンボジアでのASEAN国防相会議です。何とか新たな演習3つの合意を取り付けたようです。対テロ、災害対処、海上安全保障の3本立て。昨日の首脳会議は中国がカンボジアを巻き込んだようですが→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-11-17



★米空軍の話題
史上最長5年の勤務を終えて21日退任したドンリー空軍長官の最後のインタビュー。敬意を表してご紹介。艱難辛苦の5年間でしたが、今話題は臨時の仮長官に同性愛者が就任したこと→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-06-24-1  苦労したドンリー氏がかわいそう

米空軍参謀総長の発言→「仮に強制削減が2014年度やそれ以降も継続したら、米空軍は特定の機首、例えばA-10攻撃機やB-1爆撃機の全機を廃棄する決断することになるかもしれない」等→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-06-19-1

米軍2トップによる予算削減の影響訴え。「強制削減は我々を即応態勢維持の崖に」、「議会に要求している基地閉鎖、補償費増加制限、兵力構成変更等を仮に議会が拒否を続けたら」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-05-29-1  同盟国に期待だそうです

米空軍ICBM運用部隊の士官17名が能力不足で処分された件。前空軍参謀総長が「忘れられた部隊」と自戒の念をこめて表現したように、士気の沈滞や装備老朽化が著しく、根深い問題を抱えた部隊の断面→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-05-11

次期爆撃機LRS-Bの話題。米空軍が2014年度予算案に約400億円を盛り込み、2020年度運用開始に向けた動きを開始。関係者が初度構想書の中身を少し・・・→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-04-23-1

遠ざかる米国の実態→中国や北朝鮮が極東で挑発行為に出る中、在日米空軍の作戦機は、戦闘機の3/4、警戒管制機の1/2が予算削減を理由に最低限の飛行時間予算しか与えられず→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-04-09

米軍がアフガン軍に供与するプロペラハイテク攻撃機を映像でご紹介。半泥沼の機種選定で決定が1年遅れですが、ブラジル製の機体が勝者に。でもこの1年の遅れが今大きな問題に→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-03-02

強制削減の影響で米空軍が全てのデモンストレーション飛行や各種イベントでの空軍機の飛行を中止。あのサンダーバードも4月以降の活動を全て中止→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-03-05  自衛隊の航空祭にも寂寞感が

初の女性戦闘航空団司令官へのインタビューです。昨年6月誕生した米空軍女性のパイオニア。操縦教育を首席で卒業、しかし教官は「君は戦闘機も爆撃機も選べない」と。それでも・・→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-03-02-1

米空軍QDR担当将軍のお話。「空軍の独立にこだわらない」、「(他軍種との戦いに)ナイフをポケットに忍ばせて」等、厳しい財政状況下、その覚悟の程を語っています→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-03-23

お馴染み米空軍ISR部長の講演。無人機体系や運用を空軍が統制すべきか? 将来ISR計画を作成中で夏には完成、英や豪との緊密なISR協力の状況を語りました→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-04-22  懐かしいMC-12やDCGSの話題も

空軍協会総会でのエアシーバトル:ASB討論会。ASBはクリスマスツリーの飾りじゃない、ワシントンDCの役人のペットではない、等々と海空軍高官による懸命の説明→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-02-23 変化への抵抗が透けて見える

米軍のジェット練習機の後継争いです。T-38練習機は千機以上が製造された優秀な機体ですが、老朽化で2020年には跡継ぎが必要な状況に。伊英韓の企業を含む4つの企業群が狙っています→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-01-30

米空軍テストパイロット養成教育の変化です。操縦だけでなく学問的にも高度なレベルを要求される厳しい教育ですが、そこに更に宇宙サイバー無人機を組み込む努力が・・・→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-01-29-1

米空軍小ねた2つ。B-2ステルス爆撃機のグアム定期展開の再開と、演習でこれまで事前に与えられていた敵の状況を、実際にリアルタイムで収集しながら戦うRed-Flag演習が2月末から・・・→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-01-23

超巨大貫通弾MOPの話。イランの地下核施設攻撃用とかシリアの化学兵器地下倉庫攻撃用とか噂される兵器ですが、米国防省の評価機関が能力発揮可能と評価を下した模様です。2011年に一度完成したはずだったですが・→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-01-18

対中国作戦の鍵、新空中給油機KC-46の配備候補基地について。細部不明確な面もありますが、9日発表された配備候補基地9つに、現在給油機の配備がある嘉手納基地はありません。中国の攻撃による被害を恐れたか・・→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-01-11

北米大陸をカバーする短・中距離弾道ミサイル防衛網の導入宣言。北米コマンドの副作戦部長がアピールするかのように語っています。なぜ北米に?どんな脅威を想定?等々の疑問も多いのですが・・・→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-01-10

米空軍無人機操縦者の処遇問題。米議会が空軍に無人機操縦者の昇任率が低い理由と改善策を180日以内に報告せよと命じた模様。いろんな意味で軍内の「暗黙の階級制度」に揺るぎが出ているのかも・・→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-01-06

米空軍トップが新年2日に全空軍兵士に宛てた「衝撃・異例」の新年メッセージ。「戦闘機パイロット文化への攻撃」や「魔女狩り」は空軍の伝統ではないと・・・。昨年12月に全空軍を対象とした査察結果を基に→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-01-04

米空軍2トップが国防副長官に報告した「強制削減対処方針」メモ。「発動に備え、今から対処しないと」 発動された場合の対処には、アフガン以外の飛行時間削減や整備費用や部品費の大幅カット。即応体制維持は不可能と→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-01-15

ALCM空中発射巡航ミサイルの後継検討です。核抑止の一翼を担いB-52に搭載のALCMの後継はLRSOと呼ばれ、当初計画よりも2年遅れで主要軍需産業に提案要求契約を・・・→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-12-12-1

米空軍戦闘機操縦者ボスによる第6世代戦闘機に関する発言→「現在の国防省のスケジュールからすると、2030年までに次世代戦闘機が必要になる 」と・・・F-35の目途も立っていないのに・・・→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-12-03

米空軍トップがWing指揮官を約140名集め、性的暴力やセクハラ防止に真剣に取り組めと訓辞の話。「性的襲撃やセクハラ問題対処に積極的でないリーダーや向き合わないリーダーは、解決に向かないだけでなく、問題となっている」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-12-04

米空軍の小ネタ2つ。744機も生産されたB-52爆撃機の末っ子(最も最近製造された機体)が50歳を迎えた話題と、米空軍のCV-22オスプレイで飛行時間2000時間を超えた機体が出たとのお話です→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-10-30

B-2爆撃機の全世界へのローテーション派遣宣言です。よく話を聞くと、最近米軍で流行の「広く薄く」派遣です。年に数回、数機が各数週間・・・それも来年からアジアを皮切りに・・→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-11-13

一触即発のイランと米国関係。米国防省8日発表→11月1日、イラン軍のSU-25攻撃機が公海上空で偵察飛行中の米軍無人機MQ-1プレデターを2度以上にわたって攻撃。米無人機は無傷で帰還も緊張高まる。イランは領空侵犯したと主張→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-11-10-1

米空軍のISRの課題をジェームズISR部長に語ってもらいます。A2AD対処を考えた場合、冷戦時代の情報収集が参考になると・・。偵察機を自由に飛ばせる状況ではなく、人的・SNS情報等の総合融合が必要になると→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-11-20-1

ジェームズISR部長は本年3月にも指摘→「空軍内の関連研究によれば、米空軍はISRデータ処理容量不足に直面している。2016年までに、空軍はデータ処理のために10万人以上の分析官を必要とする」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-03-27



★F-35関連動向
米議会でのF-35議論。第1部では国防省側が「大丈夫。課題もあるが先が見えてきた」と証言、第2部では外部関係者から「問題の本丸に手がつけられていない。実行可能性無き計画だ」との指摘が→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-06-20

F-35計画懐疑派の会計検査院「今後24年間にわたり、毎年1.2兆円をF-35の開発と調達に当てる見積は実行可能性無し」、国防省評価室長「開発評価試験の中身が不十分で厳しさに欠ける。より厳格な試験を」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-06-20

13日F-35に関わる米国防省、企業、開発パートナー国等の代表が一堂に会する会議が開催。国防省関係者から「昨年の会議より遙かに良い雰囲気だった」との発言が相次ぎました。でも「幸福感に浸っている場合ではない」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-06-14

空軍用F-35であるA型が、ソフトウェア試験の一環として「初めて」ミサイルを発射した件。何か目標を狙ったのではなく、単に搭載ミサイルに点火して射出することが出来るかを確認しただけのようですが・・・→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-06-08

米国防省が米海軍、海兵隊及び米空軍のF-35初期運用能力(IOC)獲得時期を発表した件。31日に海兵隊が2015年12月、空軍が2016年12月、海軍は2019年2月と。海兵隊と空軍は不完全なソフトでとりあえず→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-06-01

議会の国防省への要求。国防省に対してはF-35ソフトウェア監視チーム立ち上げと報告書提出、陸軍には海兵隊に大好評の無人輸送ヘリ導入を避けている理由を説明せよ。陸軍は完全に組織防衛でしょうが・・→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-05-27

米軍用F-35総経費見積もりが1%ダウンしたとの話。ロッキード社報道官が「コスト低下が宣言された最初の記念すべき年」と自画自賛。過去12年間で総経費が1.7倍、1機の価格が2倍になっていることは棚に上げて・・→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-05-28-1

F-35を製造するロッキード社の女豪腕CEOへのインタビュー→F-35の価格、運用経費、そして戦略レビューの影響にについて語ります。「我々全員は、国内需要が現状維持か下降気味の中、より海外に販路を開こうとしている」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-05-16

F-35開発の課題に関する最新情報→「ソフト開発が一番の懸念。一番早いF-35Cのソフトが2017年に完成するかには低い自信しかない」、「輸出管理法の関連で、共同開発国等への技術移転が日増しに大きな問題に」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-04-26

亡国のF-35に2名が証言→「F-16より1割運用維持経費が高くなるかも」、「過去2年間で、F-35計画は幾分か安定してきているように見える」、「飛行テストは約1/3が終了しただけで、まだ膨大な挑戦が」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-04-20

F-35開発の課題でよく聞くのは、ソフトウェア開発やHMD開発の遅れ等々ですが、ある面もっとも深刻なのが「種々のトラブル対処で機体が重くなった穴埋めに、安全性や残存性を犠牲にして機体の軽量化が図られているとの指摘」です→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-01-15-1

F-35関連小ネタ4本→「シンガポールがB型発注?」、「マケイン上院議員が議会で激怒」、「米会計検査院が追加経費を暴露」、「そんな中でも、LM社は日本用契約をがっちりゲット」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-03-27

マケイン上院議員が激怒し相手にペンを投げつけ「長年にわたりダマサレ続けてきた。この間、約束や関与責任の言葉が繰り返されるのを目撃してきたが、唯一守られたのはロッキード・マーチン社の利益率7%である」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-03-27

今頃になってやっと外国人がF-35で初飛行。19日に外国人初飛行は英空軍の少佐。あくまでもF-35で離陸して飛行し、無事着陸するのが目的の基本中の基本。だれもが米国の勢いに負け、飛行試験をせずに採用決定済み→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-03-24

再び米国防省F-35計画トップによる製造企業の痛烈批判。昨年、米軍と同企業との関係を史上最悪と表現した中将が、今回は「コスト削減への努力や投資を怠り、今後40年間同機を生産して米軍と関係を持つことを全く考えていない」と→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-03-01

F-35初号機契約を延期したトルコ高官の話。「暗闇に中で独りぼっちになりたくなかった」、「他の懐疑的な国々と歩調を合わせる方がより安全だと考えた」と。共同開発国全滅の図がここに・・→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-02-19

F-35の安全性の話。次々発生するトラブル対処で機体重量が増加し、軽量化のため安全装置関連装備が除去されているとか。また急降下が出来ないとか、主翼やエンジンに亀裂とか・・・→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-01-15-1

岩国に配備される垂直離着陸型F-35(B型)の宣伝映像→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-07-12

カナダ政府のF-35購入見直し。地元紙が報ずるところ、F-35のライフサイクルコスト見積もりが当初の2倍以上になる見積もりが明らかになったことが主な理由とか・・・→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-12-08

米軍F-35計画室長に豪腕の空軍中将就任ニュース。数々のトラブル開発を何とか納め、現副室長のBogdan中将です→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-12-05

F-35の維持整備業務80兆円に群がる軍需産業です。11月14日、国防省のF-35計画室が維持整備業務説明&大商談会を開催予定で、100社以上が参加の見込み。共同開発国だけに招待状が・・→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-11-06



★中国の軍事・その他
中国軍研究を牽引する米国若手研究者による論文から、無人機作戦の状況をご紹介。「ミャンマーの麻薬取引者のNaw Khamを無人機で殺害することを考えたが、実行しなかった」、「国際世論の反応を考慮してその使用には慎重」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-06-26

パリエアショーの中国企業展示品が米国製兵器に「瓜二つ」だと話題にとの話。折も折、ヘーゲル長官は講演し、サイバー分野は厳しい予算の中でも最優先事項だと改めて訴えています・・・→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-06-22

米国若手研究者による中国軍無人機の運用に関する論文→「敵の電子通信を傍受・かく乱する電子戦使用が考えられるが、全体として慎重である」、「当面東アジアにおける無人機の使用を偵察に限っている」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-06-26

重要な点を忘れてました! 米国若手研究者による中国軍無人機の運用に関する論文→「中国はすでに尖閣諸島の写真撮影に無人機を使っている」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-06-26  初耳です! 領空侵犯されていると言うことか???

米国防省の航空宇宙分析官による個人的立場での中国軍分析レポート。全般には、誇張や大げさな表現は控え、淡々と冷静に中国軍の能力評価と開発状況を分析。さわりの部分を→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-04-25-1

米国防省分析官→「重要なのは、中国が米国の半分や1/3の経済力でここまで来た点。今後10年で中国経済が米国と並んだ場合、人件費を気にする必要のない中国は、何をしでかすのだろうか?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-04-25-1

国防省発表のレポート「中国の軍事力」 既にプレスが報道も、ピンぼけ気味です。あくまでレポートの中核は「高列度紛争に短期間で勝利」、「短・中距離弾道ミサイル、対地対艦巡航ミサイル、宇宙兵器、軍事サイバー空間能力に焦点」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-05-08

中国銀行幹部が「ネズミ講」と呼び、大物投資家ソロス氏が「中国版サブプライムだ」と警告する200兆円超の投資資金→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-04-27

台湾の馬英九政権は尖閣に関し中国と連携しないことに何度も言及し、外交部も「釣魚台の争いにおいて中国大陸と合作しない」と文書で公表。ただし世論調査では、中台が協力することに、中国8割、台湾でも5割の賛成がある→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-03-26

中国新政権誕生で考える台湾との関係。防衛研究所の新人研究員によるメモのご紹介。基本方針の「経済を先に、政治は後で。簡単なものを先に、困難なものは後で」に変化は? 尖閣に関し連携は?→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-03-26

中国軍の無人機作戦構想→→中国軍UAVは米空母攻撃の位置特定を重視、ステルスで生き残り、敵の衛星、早期警戒機やレーダー妨害機能を装備 おとりUAVで射耗させ、妨害UAVで麻痺、攻撃UAVでとどめ→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-03-12  日本も学ぶべき

中国企業が管理権購入間近なパキスタンの港Gwadarのお話。「真珠の首飾り」戦略などと呼ばれる中国のインド洋進出を象徴するようなニュースですが、なかなか大変な面もあるようです・・→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-03-09

中国軍の無人機作戦構想→中国軍UAVは米空母攻撃の位置特定を重視、ステルスで生き残り、敵の衛星、早期警戒機やレーダー妨害機能を装備 おとりUAVで射耗させ、妨害UAVで麻痺、攻撃UAVでとどめ→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-03-12

中国経済統計のデタラメさを実例を挙げてご紹介。景気減速が噂されるにつれ、その誤魔化しが各方面で。各地域のGDP合計が全国GDPより1割大きいとか・→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-03-03

中国大手造船会社が米軍需産業へラブコールです。我が社の船に米国製兵器を搭載したいと。当然拒否も、将来は? 中東最大級の兵器見本市IDEXのご紹介も→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-02-18

中国軍の爆撃機の今後に関する噂を吟味します。ロシアからSu-34やTu-22M3を輸入?? 超音速対艦ミサイル? コピーのJ-17は?→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-02-02-1

10年以上履行されない台湾との約束・・潜水艦の売却です。2001年に2代目ブッシュ大統領が表明してから進歩無し。米国が通常推進型潜水艦を建造していないため、独やスペイン等に打診するも・・→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-01-28

中国軍の新輸送機Y-20の評価です。中国軍を主対象とする軍事雑誌「漢和ディフェンス」編集長が語ります。エンジンが・・・軽量化の鍵であるC材が・・→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-01-29

米空軍協会機関誌の記事より中国空軍のお話。記事の中から中国空軍の弱点部分をご紹介。米空軍パイロットを夫に持つ女性博士が、おもしろい視点を披露・・・→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-01-09

「脅威の真打:中国巡航ミサイルDH-10」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-08-08

中国軍事脅威の実態を、最も判りやすくシナリオ風に表現しているのはこのレポートだと思います→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-12-30

防衛研究所の「中国安全保障レポート2012」斜め読み概要紹介。今回の特集テーマは、人民解放軍に共産党の統制下にあるのか? との興味ある視点です。レポートは「党中央の統制には揺ぎ無し」ですが、不安要素もたっぷり紹介→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-12-23-1

中国の新型ステルス機と話題のJ-31の初飛行映像です。中国軍等は公式に認めていませんがネット上で話題に。F-35やF-22に酷似するその形状から、サイバー戦の賜・・との見方も→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-11-02

説明不要→中国国防省の局長「日本は中国のミサイルの脅威を考慮しないのだろうか。局地戦が発生して両国の艦艇や戦闘機が出動する前に、中国側がミサイルで先制攻撃するかもしれないのに」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-10-29  ご親切にありがとう御座います

中国製短距離弾道ミサイルの宣伝映像を通して中国軍の戦術を考えます。中国航空ショーで台湾の基地に並ぶF-16をミサイルで撃破映像が。中国軍にとって空中戦など2の次・3の次なんです。地上にいるうちにたたいてしまえ!・・・です→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-11-21

米空軍とつながりが深いRAND研究所の中国空軍分析も同様の結論を→「米国の優位性を認識した中国は、米国等の敵航空機が離陸する前に地上で破壊することに重きを置いている」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-03-29



★日本の安全保障政策
あの慎重で婉曲的表現ぶりの岡崎研究所による画期的主張「尖閣上空の制空権確保にしても、昔のような戦闘機同士の空中戦はほぼあり得ないでしょう。戦闘機の数のみを比べても、あまり意味のない時代になりました」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-06-17

オスプレイが諸外国に大人気。パリエアショー会見した米海兵隊のオスプレイ計画責任者は、オスプレイの評価が高く、今後10年間で100機販売できる可能性があると自信たっぷりに→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-06-19

森本前防衛大臣による「日本のF-35購入は遅れるだろう」発言が米メディアで大ニュースです。米軍事メディアのインタビューで発言も時期も時期、日本もか・・と大きな注目が。良いチャンスなのでF-35の真実を!→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-06-11

米航空専門家→日本国内に組み立て工場等を保有することで、航空機のコストは大幅に上昇。日本の歴代の戦闘機価格が高騰したのはこのため。日本は日本の戦闘機産業維持のため、どれほどの投資を行うべきか判断できていない→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-06-11

日本の情報セキュリティーに関する「2本の矢」 一つは「特定秘密保全法案」で公務員による情報漏洩に対する罰則を強化する動き、もう一つは「サイバーセキュリティ戦略案」を政府が作成して意見募集を開始→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-05-22

米海軍が新造のイージス駆逐艦(改アーレイバーク級)DDG-118の名前を、日米関係強化や米軍人の処遇改善に尽力した故イノウエ上院議員にちなんで「USS DANIEL INOUYE」と命名! イノウエ議員についてはこちらを→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-12-19

カーネギー財団が発表の対中国の日米同盟について考える膨大なレポート。2030年までを視野に「大規模紛争はなさそう」、「劇的な戦略的変化もなさそう」、一方で「全ての対策案は、痛みを伴い」、「現状が維持は難しい」と→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-05-13

小野寺・ヘーゲル記者会見よりメディアが取り上げない部分を。ISRワーキンググループ設置、2台目Xバンドレーダー進展、ガイドライン見直しには2~3年必要等の話を含めご紹介→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-04-30

「津波被害にあった戦闘機を約140億円もの経費をかけて修理可能かどうか検査し、1機約120億円で購入した戦闘機に、何と1機約130億の修理費を投入することに」→http://crusade.blog.so-net.ne.jp/2013-04-16  これを脳死と呼ばずなんと呼ぶか? 恐ろしき戦闘機の呪縛

「日韓共通戦略目標を提案する」との小論。防衛省研究者による、世間体を気にしたり「空気しか読まない」風潮に真っ向から挑む心意気ある提案です。「両国が指向すべき戦略ヴィジョンは、自ずと自明」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-10-02-1

衝撃のデンプシー議長講演@防衛研究所。質疑で同大将は「(日本と韓国が)直面する脅威に対して相互運用可能な関係になるべき」と→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-04-28  米国とはそれぞれが高度の協力関係を築いているのに、日韓の間にはそれが無いと。痛いところを

尖閣等をめぐる論客の討論会。「自衛隊が出動となると敷居の高い「防衛出動」しかない。そこが日本の弱点」、「警護出動が出来た際、(組織を侵されると感じた)警察官僚から猛烈に反対され、自衛隊は米軍基地のみ対応可能となった」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-03-31-1

(日本に脅威となる射程1500kmの巡航ミサイル配備を宣言した韓国に)→「2015年末には、指揮権の委譲により、韓国軍が米の関与なく独自に軍事活動を始められることになることを覚えておくべき」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-03-22-1

尖閣問題に関し外務省顧問→「一番賢明なやり方は、静かにやることだった。静かに実行支配を強めることが、国際的にも一番正しい方法であった。これを鳴り物入りでなく、静かにやることが非常に重要だった・・・」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-03-31

森本前防衛大臣のちょっとな大胆発言→「昨年4月と12月の北朝鮮ミサイル対処の際、米海軍イージス艦は日本よりも米本土防衛に重点を置いた配備だった」「安倍政権の重要課題の一つは、米国をアジア太平洋に引き留めること」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-03-22-1

米空軍KC-135R給油機の初号機退役を題材に、日本がこの重要な装備を無視し、意味なく戦闘機数を「教義」のように死守する様子を嘆きます→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-03-04 F-4の後継機なんか必要ありません

本格化した日米「宇宙状況監視」協議。11日、日米の複数の官庁から担当者が東京に集まり「宇宙に関する包括的対話」 弾道ミサイル監視用FPS-5レーダーや岡山の光学望遠鏡で衛星監視を→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-03-11

安倍総理はオバマに釘を刺されたか? 歴史認識に関する3つの首相談話を学ぶ→村山、小泉、菅の首相談話を比較しながら吟味し、安倍首相が発表を示唆した新たな首相談話を考えます→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-02-20

防衛省戦略計画室:高橋杉雄氏による日米軍事協力に関する論文をご紹介。エアシーバトルが「スタンドオフ攻撃能力の強化とそれに伴う前方展開兵力の削減という形をとるよりも、空母や地上発着の戦術航空機を中心としつつ」と?→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-02-24

防衛官僚が語る・・・現在の防衛計画大綱の「動的防衛力」は本格有事を想定せず→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-02-26

コープノース2013演習について、豪空軍webサイトは制空、CAS、阻止、電子戦等の「coalition procedures」を訓練と表現。コアリションとは素晴らしい。もっと宣伝すべき!→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-02-13

防衛省が策定する「統合防衛戦略」について。これまで陸海空自衛隊でバラバラだった有事の想定を統一し、必要な装備を絞り込み、防衛計画の大綱改正に資するものと。防衛省初の試みとか・・。今までやってなかったのか・・唖然→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-01-03

防衛研究所の「中国安全保障レポート2012」斜め読み概要紹介。今回の特集テーマは、人民解放軍に共産党の統制下にあるのか? との興味ある視点です。レポートは「党中央の統制には揺ぎ無し」ですが、不安要素もたっぷり紹介→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-12-23-1

岡崎久彦氏による対中国戦略 「西側にとっては経済封鎖が最大の武器であり、ASBは、そうした大戦略の中における効果的な補助手段として考えるべきだ」、「尖閣」等だけに絞ったような目先の議論が満開な中、正々堂々とした姿勢→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-12-09

軍事組織は自己改革できないとのお話。防衛研究所の紀要の巻頭論文に掲げられた主任研究員の論文は、RMA各種理論を紹介するモノですが、軍人が自己変革できない様子をこれでもか・・・と強調。自衛隊への不満の現れか?→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-12-02

有力シンクタンクCNASによる提言レポート:横田基地を官民両用の飛行場に・・です。石原慎太郎氏もビックリの「追い風」提言ですが、同時に他の民用飛行場への緊急時軍用機乗り入れ合意も取り付けるべきとの記述も→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-11-01

防衛研究所の60周年シンポジウム。この記念行事でCSISルトワック氏が軍の装備品開発を批判し→たとえ進捗がよくなくても「too big to fail:大き過ぎて潰せない」状態になってしまう。F-35は顕著な例である→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-10-31-1

米軍リバランスと日米協力についての防衛研究所のペーパー。前半部分は米軍リバランスを「プレゼンス削減も有り得る」と勇気を持って喝破。しかし後半は、現在の日米防衛協力を肯定しまくる役人作文に・・。でも一見の価値有り→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-10-17

Resiliency(強靭さ)を捨てたのか? 米軍がアジア太平洋地域で目指すのは「地理的に分散し、作戦面で打たれ強く、政治的に持続可能な体制」です しかし防衛省に「分散」や「打たれ強い」体制への取り組みは皆無・・→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-09-13-1



★兵器技術の開発動向
海軍用の無人システムについて。機雷対処に多様なシステムが開発中です。この分野は我が国の専守防衛下でも憲法9条下であっても、やろうと思えば今すぐ強化できる分野で、国際協力も可能なはず→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-05-30-1  組織防衛の意識さえなければ・

開発が加速的に進む長距離ステルス対艦ミサイルLRASM。対地攻撃用のJASSMやJASSM-ERと約85%の部品共通性を有し、衛星誘導だけに頼らないミサイルを追求→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-05-19

3本立て。無人哨戒機MQ-4:Tritonが初飛行、無人艦載機X-47Bが空母で初タッチ&ゴー、そして米議会が陸軍と海軍のレーザー等ビーム兵器開発の可能性を高く評価したとのニュースです→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-05-23

通常兵器による世界的即時攻撃:CPGS構想の一翼を担うと勝手に解釈中のスクラムジェット推進のデモ機・X-51Aの最初で最後の実験成功ニュース。これまでの経緯も、映像付きでちょっと丁寧にご紹介→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-05-07

米国防省による研究開発2件。米陸軍研究所を中心とした「昆虫型無人偵察機」と長距離対艦ミサイルです。予算厳しき中にあっても、重要な分野には投資を→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-03-07

ALCM空中発射巡航ミサイルの後継検討です。核抑止の一翼を担いB-52に搭載のALCMの後継はLRSOと呼ばれ、当初計画よりも2年遅れで主要軍需産業に提案要求契約を・・・→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-12-12-1



★サイバー・宇宙の話題
米軍人トップの講演。デンプシー大将はサイバー戦に関し「中国はサイバー世界にルールはなく、従って我々は何のルールも破っていないと考えている・・・米企業は独自に反撃を開始しており、エスカレーションを懸念」と事態を憂慮→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-06-28

サイバー戦の交戦規定ROEについて。米軍部隊がサイバー攻撃を受けた場合の「反撃」に至る基準を示したROEを採択間近と。少なくとも3年以上続いた激論の紆余曲折もご紹介→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-05-29

米海軍士官学校が化学や工学や国際関係と並び、サイバー作戦を専攻課程の一つに付け加える準備を進めているとの話。2016年卒業生にはサイバー学位保持者が誕生予定→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-06-09  全米の学部生レベルでは初の試みとか

本格化した日米「宇宙状況監視」協議。11日、日米の複数の官庁から担当者が東京に集まり「宇宙に関する包括的対話」 弾道ミサイル監視用FPS-5レーダーや岡山の光学望遠鏡で衛星監視を→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-03-11

人工衛星のリサイクル。「宇宙空間にある衛星はどれも燃料が尽きればゴミになります。この現状を変えたい」との研究者の取り組みをご紹介。火星に人類よりも、こっちの方が重要では・・・ →http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-01-07

ネットから切り離されたPCや回線にウイルスを「注入」する技術を米陸軍が研究中との話。「データを電磁波により「注入」する能力にはまだ限界が。特に射程距離と周波数帯に課題があり、複雑なデータ注入には時間が必要」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-12-18 それでもここまで

シリア内戦における激烈なサイバー戦の様相。どうやら政府軍側はイラン製やロシア製のサイバー兵器で反政府関係者をあぶり出し、逮捕や情報入手に活用。反政府側も独自の通信ネットワークを利用など・・→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-01-25

米空軍主要幹部全員集合のサイバーサミットです。空軍長官や参謀総長以下、主要幹部30名が集まってサイバーに特化した勉強会と検討会・・・問題の深刻さを感じさせ、かつ見習うべき姿勢でもあります→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-12-14

米空軍の宇宙問題。宇宙コマンドのシェルトン司令官が問題認識を。余裕のない衛星打ち上げ、多機能衛星の脆弱性、米国はキネティックな衛星攻撃を避けるべき、民間衛星の活用、敵には多数の攻撃目標を、打ち上げに新規企業参入を→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-11-18

米軍の地域及び機能別コマンドの中で、最もサーバー攻撃を受けているコマンドはどこか?  米国防省web記事がこの問いに答えつつ、表彰を受けたそのコマンドを例にサイバー分野での努力目標を訴えます→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-11-22

キーワードである「JCC」を、6月にパネッタ長官が設置を命じた時の記事から振り返り、その狙いを復習します。長官は「可及的速やかに行動を起こし、暫定的な体制を取らなければならない」と・・・→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-06-12-2

米国防省の新宇宙政策発表です。18日にカーター国防副長官が署名したそうで、概要を担当次官補代理が語っています。大きく5つの項目から成っているようです→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-11-23

米国防省がサイバー演習場を本格稼働させたとの話。National Cyber Rangeという演習場では、さまざまな環境を短時間に柔軟に人工的に作り出し、試験や演習が可能とのこと。インターネットを生んだDARPAが・・→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-11-25



★無人機の話題
無人機を民間航空路等で飛行させるためのイスラエルを中心とする欧米の努力のご紹介。4月下旬に欧州の主要企業関係者が集合して試験を視察→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-06-11-1  でも「操縦者グループが無人機の進出を快く思っていない」

3本立て。無人哨戒機MQ-4:Tritonが初飛行、無人艦載機X-47Bが空母で初タッチ&ゴー、そして米議会が陸軍と海軍のレーザー等ビーム兵器開発の可能性を高く評価したとのニュースです→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-05-23

「米海軍の歴史を作った」映像、無人艦載機X-47Bが初めて空母から離陸&海軍基地に着陸です。14日空母Bushから飛び立ったX-47Bの勇姿をぜひ! なお空母への着艦試験は本年夏後半の予定とか→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-05-15

米海兵隊がアフガン最前線で物資輸送用に試験的に用いている無人ヘリK-MAX。予算削減で今後は未定ながら、敵と交戦中の部隊に貴重な弾薬や食料を夜間に輸送する任務で大活躍→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-05-02

米海軍の事前告知:空母艦載無人ステルス機の企業提案を夏から募る予定。UCLASS初号機を2016年には完成させたいとの思いから、海軍は正式な提案要求書を主要4企業に発出へ→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-03-28-1

通称「ナショジオ」が描く米国一般社会と無人機について。米本土空域を2015年までにとか、1000社以上が参入とか、ペットや家畜追跡用とか、米本土の安全の観点とか・・をご紹介→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-03-03-1

中国軍の無人機作戦構想→→中国軍UAVは米空母攻撃の位置特定を重視、ステルスで生き残り、敵の衛星、早期警戒機やレーダー妨害機能を装備 おとりUAVで射耗させ、妨害UAVで麻痺、攻撃UAVでとどめ→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-03-12  日本も学ぶべき

超小型無人偵察ヘリが既に大量にアフガンで活動中です。まさに手のひらサイズで、映像や画像を持ち運び可能な画面に送信。実際に見せられると結構衝撃的。建物の中の敵を探るとか・・・→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-02-07

映像:空母トルーマン甲板上で試験を開始した無人ステルス機X-47Bの様子です。先月26日、空母に搭載されたばかりですが、早くも甲板員の手信号に誘導され、空母に馴染んで見えます→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-12-11

映像です。無人ステルス艦載機のX-47Bが地上で初めてカタパルト発進に成功の映像 試験を指揮する海軍少将「海軍航空の新たな時代の幕開け」と・・→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-12-01

空母艦載無人ステルス機X-47Bの話。26日、いよいよ空母に搭載され本格的な試験開始です。空母トルーマンに搭載された1機で、この冬の間に空母からの離発着試験を行うようです→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-11-28-1



★諸外国や安全保障全般の話題
NATOに激震:トルコが中国製防空ミサイル導入か? 「安価」かつ「共同生産で技術が得られる」との理由でNATOシステムと連接できない中国製を選定へ。トルコ防空網の半分はNATO提供の現実を無視→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-06-24

軍用無人機もレンタル時代へ? 予算削減の中、無人機を購入するのではなく、必要時に「レンタル」で無人機を運用する時代になるかも。複数の有名企業が17日開幕の「パリエアショー」で宣伝中→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-06-15

仏空軍が予算縮減に対応するため、戦闘機操縦者を十分訓練組と不十分組に2層化するとの話。不十分組は有事の際、数ヶ月訓練の後実戦投入とか・・→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-06-16-1  戦闘機操縦者の扱いを堂々と議論できるうらやましい環境

ノルウェーが女性徴兵制の採用で合意した件。女性国防大臣が提案した理由は単純明快「男女平等」 男性のみ課せられていた1年の兵役を女性にも→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-06-16  斜民党とか、緑の風邪とか、ジェンダーフリー推進派の皆さんのご意見を伺ってみたい

読んで嬉しいロシア分析の秀作:中露関係は頭打ちで複雑化です。中露関係をフォローするだけでなく、ロシアと印米日ベトナムとの関係にまで触れ「ロシアが自らの立ち位置を模索する」様子を浮き彫りにする小論です!→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-05-03

ロシア考察の秀作2→「露は中国の北極進出を警戒している。1999年以降、中国の極地観測船「雪龍」がオホーツク海を経由して北極海へ向かうようになり、オホーツク海を軍事的な聖域とする露軍関係者の間に波紋が・・」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-05-03

ロシア考察の秀作4→「プーチンは国内基盤が弱く、領土問題の進展は期待薄。きしむ中露関係を背景に、露は今後も日本との関係強化を求めると予想され、日本側が領土問題で拙速な対応(譲歩)を行う必要はない」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-05-03

英国防省が公開したUFO対処課の元秘密文書。国防相への報告メモには、50年に及ぶ各種情報を分析したETの存在に関する記述が。軍事的脅威に関する記述も・・→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-06-22-1

ロシアも負けてない!? ロシア空軍が大型ステルス爆撃機の開発に本格着手。ロシア空軍司令官が11日、ツポレフ社との概念設計契約に署名し、完成想像図を公開「flying wing」形状です→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-04-16

韓国軍需産業の海外進出。先日フィリピンへの軽戦闘攻撃機FA-50売り込み以外にも、インドネシア、タイ、マレーシアと矢継ぎ早に攻勢を。更に南米にも足場を→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-02-23-1

戦闘機を持たないフィリピンが韓国製戦闘機購入へ・・です。FA-50という練習機に武装した軽攻撃機のようなタイプを12機ですが、大きな一歩です。韓国もやるね・・→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-02-02

「徴兵制」維持の是非を巡る国民投票を行った中立国オーストリア。なんと6割の支持を得て維持の方向へ。徴兵制廃止が流れの欧州でなぜ? →http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-01-22

シリア内戦における激烈なサイバー戦の様相。どうやら政府軍側はイラン製やロシア製のサイバー兵器で反政府関係者をあぶり出し、逮捕や情報入手に活用。反政府側も独自の通信ネットワークを利用など・・→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-01-25

お気楽映像、実質世界で唯一の女性徴兵制度を持つイスラエルの女性兵士をご紹介。数十枚の写真をスライドショーにした映像からは、近代国家の若い女性を徴兵するとこうなる・・との風景が。美人揃いです→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-12-27

戦闘機命派の皆さんに贈るクリスマスプレゼント。印がロシアとSU-30ライセンス生産42機で契約。露も追加で30機発注。またロシア5世代戦闘機T-50の試験状況を露空軍司令官が、「2015年か16年に導入したい」と→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-12-25

フランスの国鉄総裁が「フランスに輸出してほしい」、米国運輸長官もわざわざ視察し、『日経ビジネス』誌が「最強のチーム」としての取り上げた、おじさん・おばさんの新幹線の車内清掃員集団→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-12-11-1

イスラエルの大学教授が衝撃の本を。欧米でベストセラー。ユダヤ人は離散せず。2千年前にローマに敗れた後も、7世紀以降にイスラムに支配されても、農民だったユダヤ人は農地に残った。古代ユダヤ人はイスラムに改宗し、パレスチナに残留したと・・→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-01-17

米空軍NORADの一大イベント、サンタクロース大追跡のカウントダウン開始です。50年以上の伝統を持つ、遊び心いっぱいのこのイベント、世界8カ国の言語でwebサイトも。まず、なぜ? どのように?の疑問に答えます →http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-12-18-1



★軍隊の本質を考える
軍事組織は自己改革できないとのお話。防衛研究所の紀要の巻頭論文に掲げられた主任研究員の論文は、RMA各種理論を紹介するモノですが、軍人が自己変革できない様子をこれでもか・・・と強調。自衛隊への不満の現れか?→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-12-02

オハイオ州立大名誉教授→米軍では実務の専門性が重視され、学者タイプではなく剛腕タイプの軍人が重用されてきた。しかし高級指揮官のある種の欠落が、イラク・アフガンで多大な犠牲の原因に・・・→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-10-31-1

久々の「ゲーツ節」を・・・。ペンタゴンでゲーツ前国防長官のお披露目式が・・。ゲーツ前長官も登場し「この肖像画を見て思い出してほしいのは、私が国防長官としての日々をシンプルな問いかけをしながら送っていたことです・・」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-10-31

官僚への言葉→「私は限りいフラストレーションを国防省の官僚組織に感じた。しかし同時に、この仕組みの中で物事を進めようと、適切な評価を受けることがなくとも、日々悪戦苦闘しているのが国防省の文民職員であることも忘れてはいない」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-06-23

あらためて・・・シンプルな問題意識が重要です→潜在敵国は、米国に対し戦闘機や空母等の軍備拡張競争を挑み、破産する道を選ぶだろうか?→中国軍事脅威の本質を、「脅威の変化」の視点から語ります→http://crusade.blog.so-net.ne.jp/2012-10-08

「ゲーツ国防長官語録100選」発表記事。100選の中から18の言葉をご紹介。全てに元の記事へのリンクを付けましたので、ご興味のある言葉の背景もご確認ください→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-05-19-1

なぜまんぐーすが「東京の郊外より・・・」を始めたか? その秘密がここに!ついに登場!「ロバート・ゲーツ元国防長官語録100選」→http://crusade.blog.so-net.ne.jp/2013-05-19 こちらが完全版です。今も変わらぬこの味わい

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ロバート・ゲーツ(Robert M. Gates)語録100選

ロバート・ゲーツ(Robert M. Gates)語録100選

まんぐーすがブログ「東京の郊外より・・・」を本格的に始めることにしたのは、ロバート・ゲーツ(Robert Michael Gates、1943年9月25日生)第22代国防長官(2006年12月18日~2011年6月30日)の考え方や発言に触れ、是非広く紹介したいと考えたからです

gates2.jpgゲーツ氏の考え方の背景には、強烈な愛国心と世界の安定維持に米国は大国として関与し続けなければならないとの自負心があります。また同時に、最前線で国益のため命を掛ける兵士への強い責任感や公に尽くすのが社会人の使命だとの深い信念があります。更に、人間への冷徹な視点とその力への信頼感の両方を持ち合わせた人物です。

そしてその発言やメッセージは、圧倒的な知力や史実や国際政治の裏側に接した経験に裏打ちされ、非常に味わい深いものとなっています。ご覧いただき、参考にしていただければ幸いです。


ロバート・ゲーツ語録100選をご紹介する前に・・・

まず、ゲーツ氏退任式でのオバマ大統領のスピーチを
「私は知っている。彼が真に困難な議論や決断に直面した時、人間の真の姿が問われる時にどのような態度を取ったか。大統領執務室で、機密会議室で、最前線で」
http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-06-23

次に、ゲーツ氏の功績を讃える各方面の声を

米大学生が選ぶ2010 Man of the Year
「大学生は、自分たちが社会システムを変革する力や能力を持つと信じる者たちである。その彼らが「true role model(真の生きた模範)」として選んだのがゲーツ国防長官である」
「ゲーツ長官が正しい事のために敢然と立ち上がり、議論紛糾の困難な2つの戦争の最中にあっても、政党間の誤魔化しでなく、現実の問題に焦点を当てて歴史的なシステムの変革を成し遂げた事を讃えて本賞を贈ることとした」
http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-12-24

日立財団の表彰理由
「イラクとアフガニスタンにおける2つの戦争の時代に優れた業績を挙げた。また、彼は、米国史上で唯一、政権交代時に新大統領から留任を要請を受けた国防長官である」
「米国史において下級職の連邦政府公務員から閣僚にまで上りつめた人物は2人だけしかおらず、ゲーツ氏はそのうちの1人である」
http://www.hitachifoundation.org/news-ja/news-releases/420-robert-m-gates-receives-2012-richardson-award-j

ゲーツ氏の官僚操縦術
「この記事が触れている「5つの教訓」は政治任用者の官僚機構とのかかわり方について重要な示唆を与えてくれるものではないだろうか」
http://www.canon-igs.org/column/security/20110706_946.html

最後の侍が去った(2011年7月1日部分)
「ゲイツ長官の最も大きな功績は、軍部と民部の信頼関係の回復とともに政権のイラン攻撃を抑えたことである」
「さらにゲイツ長官はアメリカの外交政策を軌道修正した。政権からネオコンを駆逐し、国務省との信頼関係も構築した。ライス長官とは親しく、クリントン長官ともどんなに忙しくても週に1度は会合を持っていた」
「ゲイツは「大国アメリカ」の最後の生き残り戦士だった。強者が去り大国の時代が終わりを告げたといえよう」
http://www.takashi-kawakami.com/blog.html 

米軍事情報サイト記事
gates.jpg「ゲーツ国防長官はその中でも、タコのようなペンタゴンに彼の意志を強制的に押しつけることに最も成功した国防長官である。」
「ゲーツ長官は空軍に対し最も多くを葬り去った。核運用部隊の不具合とイラクとアフガンで必要な無人機への消極的姿勢で空軍長官と参謀総長を同時に。またエアパワーを褒めるときは、空母に目を向けた。そして伝統的空軍パイロットのシンボルであるF-22計画を中断させた。更に空軍が愛してやまなかった次期爆撃機計画も葬った。」
「他の軍種も無傷だったわけではない。陸軍は漫画に出てくるような将来戦闘システムを捨て、海軍は水上艦艇士官の夢見るファンタジー溢れる将来クルーザーを失った。海兵隊は彼らのエンブレム的な高速水陸両用車両を断念した」
http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-05-05-1


ロバート・ゲーツ語録100選(順不同で)

あえてカテゴリー分類はしませんでした。誰を相手に語られた言葉であっても、トピックが異なっても、根底に流れる考え方はひとつだと考えたからです。


ロバート・ゲーツ語録1
→外交文書漏洩で外交に影響は?と問われ→「米国と関係を持つ国は、国益のためにそうするのであって、米国が好きだからではなく、米国を信用しているからでもなく、また米国が秘密を守ると信じているからでもない」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-12-02  

ロバート・ゲーツ語録2
→海軍は空母が支配し、戦闘機と爆撃機が空軍を支配し、戦車が陸軍を、そして着上陸用車両が海兵隊を支配しているのが実態である。→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-04-09
ロバート・ゲーツ語録3
→皆に気づいて欲しい。空軍の歴史の大部分は空中戦と爆撃機の能力で彩られているが、ベトナム戦争以来、空軍パイロットは空中戦で撃墜されていない→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-04-09
ロバート・ゲーツ語録4
→如何に統合で進めるかが重要である。ここイラクやアフガンでは、米軍史上無かった統合運用が行われている。しかし調達面での統合が進んでいない。我々は統合で調達することがほとんど無い→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-04-09

ロバート・ゲーツ語録5
→次の本格紛争には主に海軍と空軍が関与するであろう現実に、陸軍は向き合うべき。 アジアや中東へ大規模地上部隊を派遣するよう大統領に進言する国防長官が仮に現れたら、頭の検査を受けさせるべきだと思う→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-03-07-1
ロバート・ゲーツ語録6
→君たちのすぐ先輩の若手士官は、歴史上最も実戦経験豊富な士官たちであり、イラクやアフガンが「大尉による戦い」と言われるように、彼らの上級者より経験が豊かな面もある→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-03-07-1

ロバート・ゲーツ語録7
→現場で多くの部下の命を預かり、また裁量範囲の広い現地プロジェクトに取り組んだ発想豊かな若手士官が、本国で過去のパワポの微修正や事務的な恒常業務をやらされている現実が私を震撼させる→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-03-07-2
ロバート・ゲーツ語録8
→あるレポートによると、イラクやアフガンの現場から帰国した経験豊富な中堅若手士官が陸軍を去る大きな原因の一つは、個人の業績を評価せず、皆を同一に評価するやり方にある→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-03-07-2
ロバート・ゲーツ語録9
→(士官候補生に、)君たちが指揮しリーダーシップを発揮し、責任を負い、自己を抑制する時、君たちの可能と思う領域は更に拡大されるのである→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-03-07-2

ロバート・ゲーツ語録10
→米軍には20世紀の世界観が根強く残っており、変化を妨げている。米軍は戦闘で40年間航空機を失っておらず、朝鮮戦争以来、敵の攻撃を受けていない。しかし、21世紀の制空権は米軍の従来の想定とは全く異なるであろう→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-03-07
ロバート・ゲーツ語録11
→米空軍は、空対空戦闘と戦略爆撃に捕らわれすぎており、他の重要な任務や能力を無視しがちである。ある意味で空軍は、その成功の犠牲者とも言える→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-03-07
ロバート・ゲーツ語録12
→私がCIA長官の時、イスラエルが無人機を有効使用することを知った。そこで米空軍と共同出資で無人機の導入を働きかけたが1992年に米空軍は拒否した。私は3年前、今度は無人機導入のため牙をむいて4軍と立ち向かった→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-03-07

ロバート・ゲーツ語録13
→21世紀にアフガンで馬の背に乗って、B-52にCASを要求するなど誰が想像し得ただろうか。皮肉な話、航空機が登場当時、航空機の騒音が陸軍の馬をおびえさせると反対した者が居たそうだ→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-04-06
ロバート・ゲーツ語録14
→若手の幹部は、上司に対して率直に助言することで貢献するべきだ。士官として君が真実を述べず、正直さが推奨されないような環境を作り出したならば、君たちは自分自身と組織を機能不全にする→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-04-06

ロバート・ゲーツ語録15
→米軍がグレナダ、ハイチ、パナマ、バルカン半島、ソマリア、クウェート、イラクやアフガンで活動すると予期した者は居なかった。だから私は多様な課題に対応する能力と柔軟性を持ちたいと考えるのである→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-04-09

ロバート・ゲーツ語録16
→パウエル統参議長はブッシュ大統領の目を見据えてこう言った「大統領、我々は地上戦に入ろうとしています。数千の犠牲者がでるかもしれません。あなたはその時も、勝利に向かって突き進む用意が出来ていますか」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-04-10
ロバート・ゲーツ語録17
→マーシャル陸軍参謀総長は、自分の意見が通らなかったが敬礼し、任務に立ち向かった。決して新聞に不満表明する匿名記事を書いたり、議員に働きかけたり、反対派を形成したりしなかった。潔く任務に邁進して英国を救った→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-04-10
ロバート・ゲーツ語録18
→海空軍のため、米軍のため、我が国のため、キャリア指向や旧思考をやめよ。規律正しく、創造的で、改革指向であれ。誠実なリーダーであれ。どのポストに就きたいではなく、何を成し遂げたいかを語れ→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-04-10

ロバート・ゲーツ語録19
→進学や就職で最初につまずいても、いらいらしたり落胆するのではなく、努力を続け、学び方を学び、誘惑を遠ざけ、努力と挑戦を続けることです。そして必ずしも想像しなかった道にも備えておくべきです→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-05-25
ロバート・ゲーツ語録20
→CIAは私をスパイにしようとし、初期の訓練で女性をグループで尾行した。しかし私のグループには「怪しい男達」として一般市民から警察に通報され、仲間2人が警察に捕まった。偶然私が免れたのは・・・→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-05-25

ロバート・ゲーツ語録21
→国防省で制服幹部をたしなめている。陸軍は未だにフルダ・ギャップでの戦いを望むのか? 海軍はまだミッドウェー海戦を夢見ているのか? 海兵隊は仁川上陸作戦をもう一度なのか? 空軍は単に飛んでいたいのか?→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-10-02
ロバート・ゲーツ語録22
→君達には、常識的に上品で礼儀正しく(decency)、部下に対して敬意(respect)を持って組織をリードしてほしいと考えている。これらは単純で基本的なことであるが、しばしば忘れられている→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-10-02
ロバート・ゲーツ語録23
→褒め称える人達だけに囲まれていてはだめだ。職務に関係のない立場から、率直に意見を述べてくれる人を持つべきである。私は、褒められてばかりで道を誤った人を多く見てきた。それは破滅的な悲劇である→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-10-02

ロバート・ゲーツ語録24
→ある言葉を紹介しましょう「息子よ、公務というものは、常に誰かがやらねばならないものだ。もし賢明な者が断れば、ほかの者はやらない。もし正直な者が拒めば、他の者はやらない」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2009-12-22

ロバート・ゲーツ語録25
→ウォール街からワシントンDC、私の故郷に至るまで、人の暮らしがある場所なら何処にでも、富や権力のみを求め、何が正しく、真実で、誠実かを考えない人達がいる。しかし、ここにいる君たちやご両親は違う→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-07-29

ロバート・ゲーツ語録26
→深いConviction(信念)とは心の中の炎であり、人の心を温め、照らすものである。それは人が君たちに従おうとする力にもなる→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-05-28
ロバート・ゲーツ語録27
→自信はエゴや過信とは異なる。それは他人に責任と成功の両方を与えるものであり、日陰にあって他人が注目や称賛を浴びることを見つめる能力である。つまりこれを持つ指導者は他の成長を妨げる大きな陰を作らない→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-05-28
ロバート・ゲーツ語録28
→勇気、単に前線で見せる肉体的な勇気だけではない。新たな道を歩む勇気であり、見栄えのすることだけでなく正しいことを行う勇気をである→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-05-28
ロバート・ゲーツ語録29
→君たちは必ず、一人で立ち向かい、これは間違いだ、皆さんに同意できない、こうあるべきだと言わねばならない場面に直面する。この時こそ真の勇気を発揮すべき時である→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-05-28
ロバート・ゲーツ語録30
→上品さとは、周りの人、特に部下とどのように接するかで測られる。公平さと敬意を持って接することである。トルーマン大統領は「君たちに反論できない人達とどのように接するか」と表現した→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-05-28

ロバート・ゲーツ語録31
→人なら誰でも、成功も失敗も経験する。しかし失敗も成功も、君たちの信義に従い、正しく誇り高くあるべきことを知っていれば最終的な成功に導かれるだろう。大事なことは、どのように受け止め対応するかである→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-05-28

ロバート・ゲーツ語録32
→ワシントンDCは、「肥大したエゴと縮小した信念(oversized egos and undersized backbones)の街」となっている。「ゼロサム」政治とイデオロギー占領戦が新たな決まりとなってしまっている→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-12-15

ロバート・ゲーツ語録33
→全ての潜在的敵対者、つまりテログループ、ならず者国家、ライジングパワー、これら全てが共通に学び得たものは、米国と通常戦の手法で正面から対峙するのは賢明ではないとの認識である→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-11-27
ロバート・ゲーツ語録34
→間違わないでいただきたい。私はこれまで整備してきたものを、不正規戦対処能力に置き換えようとしているのではない。私は単に、不正規戦対処能力にも他の能力と同じ地位を与えたいのだ→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-11-27
ロバート・ゲーツ語録35
→ローテクでも現場ニーズに則した装備が必要で、そのような装備を現場にいち早く供給することを考える時が来ている→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-11-27
ロバート・ゲーツ語録36
→海外の軍に助言して訓練し、装備品を提供するような重要な任務が、米軍内の優秀と目される幹部にとって、キャリア管理上魅力無いものと見なされているのではないか→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-11-27
ロバート・ゲーツ語録37
→彼らのサイバー戦、対衛星・対空・対艦兵器、弾道ミサイルへの投資は、米軍の主要なプロジェクション能力と同盟国の支援能力を脅かす。特に前線海外基地と空母機動部隊に対して顕著である。またそれらへの投資は、足の短い戦闘機の有効性を殺ぎ、どのような形であれ遠方攻撃能力の重要性を増す→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-11-27

ロバート・ゲーツ語録38
→私は大きなホールに兵士を集め、彼らをステージの上に飾りのように配置し、兵士を背景に話をすることだけは避けてきた。また、そのような姿を見ることがつらかった。彼らは言いたいことが言えないし、質問も出来ない→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-06-25

ロバート・ゲーツ語録39
→私が国防長官に着任したとき、特段これと言って何かを変えようとは思っていなかった。しかし最初の2年間で、私を困らせる国防省の仕組みを強烈に学ぶことになった。例えば・・・→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-06-17

ロバート・ゲーツ語録40
→記者会見で。Q:ビンラディン死亡から、なぜ7週間もZawahiri選定までに必要だったのか?内部紛争か?  A:洞窟の中で開票するには時間が必要なのでしょう(爆笑)→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-06-17-2
ロバート・ゲーツ語録41
→記者会見で2.皆さんにとってペンタゴンは仕事がやりやすい場所ではなかったかもしれない。タイムリーで役に立つ情報を官僚組織から得ることはいつも困難を伴ったと思う。時に私だってそうだったから→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-06-17-2
ロバート・ゲーツ語録42
→記者会見で3.Q「アフガンで勝利しつつあると言えるか?」→A「4年半で学んだのは、winningやlosingとの重い言葉を軽々に用いないことである」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-06-17-2

ロバート・ゲーツ語録43
→今や陸軍の真の挑戦は、この10年から正しい教訓を学ぶことである。次の戦いが今回と同じだと仮定することなく、多様な経験を積んで柔軟性に富む若者の能力をどのように組織として取り込み、未知なる次に備えるかである→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-06-15 
ロバート・ゲーツ語録44
→911事案以降の地上活動で、前線の若きリーダーには重い責任が。その任務は、時に学者であり、教師であり、警察官であり、銀行員であり、農民であり、技術者であり、相談役であり、多くの場合同時に複数の役割を→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-06-15

ロバート・ゲーツ語録45
→君たちのみが戦場で体験した殺し合いでない地域部族と協力しての選挙、社会やインフラ再建、激しい戦火、部下の死など、21世紀の戦いの経験は博士号や将軍達よりも優れた知識である→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-05-08

ロバート・ゲーツ語録46
→私はかねてより、NATOが2層化、つまり人道支援や平和維持や話し合いなど「ソフト」な役割に特化するメンバーと、「ハード」な戦闘任務に従事するメンバーの2層化を懸念してきた→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-06-12
ロバート・ゲーツ語録47
→また、NATOメンバーの利益のみを享受し本部施設を使用してリスクと負担を追わないメンバーと、同盟の経費と負担を引きうける国の2極化を懸念してきた→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-06-12
ロバート・ゲーツ語録48
→多くの先進国を含むNATO同盟が、リビアに対する僅か11週間の作戦で弾薬不足に陥っている。またも米国への支援要請だ。これはアフガン地上作戦中でも10年間で15%も国防費を削減した結果である→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-06-12

ロバート・ゲーツ語録49
→昨年8月から効率性追求のためJFCOMも閉鎖を検討した。その過程で国防省内の組織は「いくら予算を使い、いくら人を使っているのか」との質問に満足な回答を得ることが出来ないことが分かってきた→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-05-26

ロバート・ゲーツ語録50
→私は歴代のどの国防長官よりも、外交や開発支援等、ソフトパワーの重要性を訴えた。でも間違ってはならない。20世紀のように21世紀でも、侵略者や独裁者やテロリストへの対処を究極で保障するのはハードパワーだ→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-05-24-1
ロバート・ゲーツ語録51
→歴史が教えてくれるとしたら、それはいつの世にも悪があり、侵攻や抑圧や富・欲望・権力のために他の人類の自由を犠牲にする輩が存在することである→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-05-24-1
ロバート・ゲーツ語録52
→同盟を維持し、貿易路を守り、エネルギーを確保し、潜在的侵略者を抑制するためには、我が軍の信頼性や関与が欠かせない。だが残念ながら、これらは国民の目からは見えにくく、これらの努力を当然のものとしがち→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-05-24-1

ロバート・ゲーツ語録53
→このように財政が厳しいとき、我々は何らかの革新的解決策を持ち込まなければいけない。そして国が困難なときは、優秀で聡明な若者が前に出て、その才能と斬新な視点を国難の解決に提供せねばならない→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-05-09
ロバート・ゲーツ語録54
→君たちには、自分を駆り立てる何かを見つけてほしいし、その何かに全勢力を傾けてもらいたい。しかし同時に諸君には、その過程において少なくともその一部で、公のために尽くすことを考えておいてほしい→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-05-09
ロバート・ゲーツ語録55
→現代において、公務に就くことがそれほど魅力を放っていないことを私は感じている。しかし公務のやり甲斐について、ほとんど知られていないのではないかとも危惧してもいる→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-05-09

ロバート・ゲーツ語録56
→私が2006年にこの職について政府の仕事に戻っ際、(貿易摩擦が激化した1992年頃のCIA長官時代と比べ)最も驚いたことが2つある。一つはインドとの関係改善であり、もう一つは日本との関係改善である→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-06-01
ロバート・ゲーツ語録5
7→Q米国防費が削減され、中国が増やす中で、プレゼンスが維持できるのか? Aシンプルに答えよう。100ドルかけて良い。5年後にも米軍の当地域での影響力は変わることはない、強化されていないにしても→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-06-01
ロバート・ゲーツ語録58
→報道機関は北東アジアの伝統的同盟国の基地関連近代化を焦点に報じるが、我々はアジア太平洋地域で、地理的に分散し、作戦面で強靭で、政治的に持続可能な防衛体制の確立に向けて数多くの措置を執っている→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-06-01

ロバート・ゲーツ語録59
→冷戦最盛期、米国はNATO支出の約50%を担った。しかし、ベルリンの壁崩壊後その割合は増加を続け、今や75%以上を占めている。欧州諸国の皆さん、今からでも決して遅くない→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-06-12

ロバート・ゲーツ語録60
→我々がアフガン国民を傷つけた攻撃を深く反省している。そこで世界のアフガンの強力なパートナーで有りたいと願っているが、究極的にはアフガン国民とその選んだ政府がアフガニスタンの運命を握るのだ→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-06-06

ロバート・ゲーツ語録61
→公に尽くすことの重要性を忘れず、自由と正義の息づく社会を保つために、市民としての役目を皆で担うことが民主主義の基本であることを心にとめ、次の世代の優秀な人達に語り継がなければならない→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-05-18-1

ロバート・ゲーツ語録62
→ベトナム戦争以来、次にどこで軍事力を使用するかの予想において、我が国の指導者は完璧な記録を更新している。つまり完璧に外し続けている→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-05-07-1
ロバート・ゲーツ語録63
→2008年の秋、当時のライス国務長官は私に話しかけた「海賊?海賊って、そんなのがまだいるの?」ライス長官が悪いのではない。国防長官で海賊対処に当たったのはトーマス・ジェファーソン以来だからだ→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-05-07-1

ロバート・ゲーツ語録64
→何が起こっても不思議でないこの世界の中でも、私にとって最悪なのは、国防省がかつて1970年代や1990年代に経験した、全ての分野に渡る一律「X%カット」である→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-04-23

ロバート・ゲーツ語録65
→米国は他国を厳しく批判する前に、自身が現在に至るまでの長い道のりを振り返らねばならない。フランス革命に背を向け、奴隷制度を維持した国が、アフリカ系米国人大統領を持つまでに至った長い道のりを→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-04-16
ロバート・ゲーツ語録66
→同時に我々は、完全な理想型が限定的な場合にしか実現できないことを肝に銘じつつも、理想の追求を捨てることは許されない→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-04-16

ロバート・ゲーツ語録67
→米陸軍の課題 一つは、イラク及びアフガン後、これらの戦いで得た貴重な経験を継承しつつ、如何に将来の脅威に対応する適切なサイズの陸軍にするか→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-04-13
ロバート・ゲーツ語録68
→米陸軍の課題 もう一つは、実戦で鍛えられた士官が戦場から戻った後、どのようにして優秀な彼らを動機付け任務を与えて陸軍にとどめ、陸軍の将来をリードする人材として育てるか→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-04-13

ロバート・ゲーツ語録69
→対リビア作戦については最終的に幾つかの結果が考えられ、その一つが民主的な国家である。その選択はリビア国民にゆだねられるべきであり、米国が追うべき責任ではない。また他にリードをとる国があるだろう→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-04-02

ロバート・ゲーツ語録70
→ロシアで講演→軍事官僚制の2つの病巣、つまり兵器システムの継続的価格高騰と納期の遅延、を危惧する点でセルジュコフ露国防相と意見が一致した→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-03-28
ロバート・ゲーツ語録71
→92年にCIA長官として訪露した際、米国が情報収集のため引き上げた露の沈没ゴルフⅡ級潜水艦から発見された6名のソ連海軍乗員の遺体と国旗、海底の映像にソ連国歌を加え、エリツィン大統領に手渡した→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-03-28

ロバート・ゲーツ語録72
→カナダはアフガンにおいて、派遣兵士当たりの犠牲者割合が最も高い国であり、その貢献に感謝し、犠牲者のご家族に哀悼の意を表したい→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-01-28

ロバート・ゲーツ語録73
→慶応大学で講演:中国との軍事交流再開について→特別な合意を生み出さなくても対話は相互理解を促進し、誤解や誤認識の教訓を学ぶ機会を与える。冷戦時のソ連とは環境が異なるが、対話の重要は変わらない→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-01-14
ロバート・ゲーツ語録74
→慶応大で→米日同盟により、日本はGDP1%以下のコストで、半世紀以上にわたって安全を確保した。経済的観点からすれば、同盟は日本にとってお得だと言える→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-01-14
ロバート・ゲーツ語録75
→慶応大で→中国の文民と軍人の間には結節の兆候がある。数年前のインペカブルへの対応や3年前の衛星破壊実験を中国文民指導者は事前に知らなかったようだし、J-20の初飛行の件も→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-01-14
ロバート・ゲーツ語録76
→慶応大で→官僚組織におけるミスだろうが、私は懸念している。だから中国にはより高いシニアレベルの文民と軍人の両方を含む対話の場を強く求めたのである→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-01-14

ロバート・ゲーツ語録77
→胡錦濤主席を含め、同席の中国側文民関係者は誰一人J-20初飛行の件について知らないようだった。これが軍人と政府の両方と会談した一つの理由である。軍人と文民が共にテーブルを囲む戦略対話の必要性が高い→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-01-09-1
ロバート・ゲーツ語録78
→朝鮮半島情勢の現状を変化させる要素には2つある。ひとつは北朝鮮指導者による核兵器とICBM開発の継続である。二つ目は韓国国民の持つ北朝鮮の挑発への忍耐の変化である→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-01-09-1
ロバート・ゲーツ語録79
→北朝鮮は米国に対する喫緊な脅威ではない。一方で、今後5年間に関してはと言うことである。正確に言うならば、その程度の時間で、北朝鮮はICBMを開発するだろう→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-01-09-1

ロバート・ゲーツ語録80
→国から配分される伸びだけでは必要な国防力を維持・向上することが出来ない。そこで国防省内の無駄を削減し、削減分を国防省内で再配分して真に必要な分野に再投資する→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-01-05

ロバート・ゲーツ語録81
→クリスマスに→何事も兵士から離れた家族の苦痛をいやすことは出来ませんが、兵士の滅私の姿勢と米国の安全への関与に対し、米国民が感謝していることが兵士にとってせめてもの慰めとなればと→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-12-22

ロバート・ゲーツ語録82
→君たちをこの場所に送る命令に署名する男である。君たちの想像以上に、君たちの犠牲、苦難、喪失を感じている。君たちが君たちのなすべき事を行っていることが、私を仕事に取り組ませるのだ。君たちに感謝をしたい→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-12-08

ロバート・ゲーツ語録83
→オマーンを訪問して。我々がサイード国王との関係を重視している一つの理由は、同国王が地域における誠実な仲介役であり、全てのグループから敬意をもたれているからである→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-12-06

ロバート・ゲーツ語録84
→2010年愛国者受賞で→多くの犠牲が我が国の安全確保のために求められる危険な時代に入った。そんな時代にこそ、安全を支える彼らのために状況を改善してやることが、我々の義務であり崇高な責務である→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-11-07

ロバート・ゲーツ語録85
→トルコとの関係が難しいタイミングでの訪問時に→「賢人は旧友を常に忘れず、愚者は難時にのみ頼る」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-10-19

ロバート・ゲーツ語録86
→徴兵制で冷戦時に米軍は世界最大規模となった。この規模拡大により、当時は多くの有望な若者が軍務の経験をした。1957年にはプリンストン大出身者が4万人軍務に付いており、ハーバード大にも700人規模のROTC制度が→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-10-10
ロバート・ゲーツ語録87
→このため、冷戦終了時で全米の学生の約4割が両親や身近な親戚に軍務経験者を有していたが、現在ではその比率は18%に低下、近い将来1割以下になるのは確実である→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-10-10
ロバート・ゲーツ語録88
→米国の北西部、西海岸や大都市近郊は志願者が減少している。これら地域で大きな基地の閉鎖再編が進んでいることも一因であるが、同時に軍務のような国家の仕事が他人事にと考えられる風潮が背景にある→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-10-10

ロバート・ゲーツ語録89
→私は継続的に、外交と開発援助により予算を割き、軍隊のみが安全保障の役割を拡大する外交政策の「軍事化」を警告してきた。省庁間のイデオロギーや官僚的論争を克服し、状況を改善しなければ→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-06-15-1
ロバート・ゲーツ語録90
→パートナー支援の5原則→1に柔軟で迅速な対応 2に議会の監視による基金の適切な運用 3支援は長期安定的に 4国務省が主導し外交の優先順位との整合を 5に謙虚で現実的な視点を→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-06-15-1

ロバート・ゲーツ語録91
→歴史的に我々は紛争終盤に差し掛かると問題の多いパターンを繰り返してきた。それは、人類の性格や世界が根本的に好転したと錯覚して内向きに変化し、一方的な軍縮や安全保障組織解体に走ることである→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-09-01
ロバート・ゲーツ語録92
→朝鮮戦争後も、ベトナム後も冷戦後も(世界が好転したと錯覚し内向きに)その繰り返しであった。そして戦いに向かうとき、我々は膨大な血と国家財産の犠牲を払いながら軍隊をその度立て直してきた→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-09-01

ロバート・ゲーツ語録93
→2つの戦争が継続中で、多くの若者が日々命を落としていた。このような状況で、もし続投を要請されたらYesと答えるしかなかった。だから私は要請されないように早い段階から「続投しない」と発言してきたのだ→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-08-17-1

ロバート・ゲーツ語録94
→海兵隊兵士に→将来、仁川上陸作戦のような大規模な着上陸作戦が実行可能か、との疑問を持つのは自然なことだ。相手の精密な巡航ミサイルや弾道ミサイルを考えれば、着上陸作戦の発起点は益々遠方に追いなる→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-08-16
ロバート・ゲーツ語録95→海兵隊兵士に→米国は第2の陸軍を求めてはいない。むしろ迅速に展開出来て、短期間持ちこたえることが出来る戦力を求めている→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-08-16

ロバート・ゲーツ語録96
→我々はソ連のアフガン撤退を見届けると、パキスタンに背を向けるように振る舞い、そして課題を抱えたパキスタンを置き去りにした。我々は「信頼感の負債」を積み上げた責めを負わなければならない→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-08-15
ロバート・ゲーツ語録97
→イランが核兵器を獲得すれば、地域の軍拡競争が確実に起こる。一方で、どの戦争も予想不可能で予期せぬ結果を生むが、イランへの軍事攻撃は計り知れない膨大で多様な結果を地域にもたらす→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-08-15

ロバート・ゲーツ語録98
→22才でCIAに採用され、誰一人知り合いのないワシントンDCに出てきた時、私を唯一支えてくれたのは、ボーイスカウトの「Eagle Badge」を取得した自信と努力する能力があるという微かな自覚でした→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-07-29

ロバート・ゲーツ語録99
→私は楽観主義者であり、かつて歴史教師を目指した者として、米国が悲観的な見通しをくつがえし、修正して立ち直った歴史を語れる。私は米国を、疑問の余地なく自らに一番厳しい社会を持つと考えている→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-06-10

ロバート・ゲーツ語録100
→日本と韓国は、米国のパートナーとして適当であるよう調整を続けてきた。しかし依然として、パートナーとして準備し、全ての、くり返すが同盟国としての全ての義務を果たすことができるパートナーでなければならない→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-05-29

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戦闘機の呪縛から離脱せよ!(Ver.2)

(Ver.2: 2013年5月1日)
日本の置かれた安全保障環境を考える時、特に近年の軍事脅威の変化を考える時、戦闘機の重要性が「ウナギ下がり」であり、根拠無く自衛隊内で神格化され維持されている「戦闘機数と戦闘機飛行隊数」の削減が急務であるとしばしば訴えてきました

最近では、F-35開発計画のデタラメぶりを産経新聞を中心とするメディアも取り上げるようになりましたが、まだまだその議論には「F-35の調達遅れによる防空網の穴」を懸念する論調や、国産戦闘機の開発・導入を求める等の声が混在しており、戦闘機を信奉する考え方が残っています

そこで以下では、日本で戦闘機に投資することが如何に非効率で無駄か、如何に日本の抑止力向上に貢献していないか、そして如何に航空自衛隊や日本の国防全体を歪めているかについて、議論のたたき台を提供したいと思います
論を進めるに当たっては、ブログ「東京の郊外より・・・」に頂いたメールやコメントを多数活用させていただきました。特に自衛隊の内部事情については、裏付けを取ることは出来ないモノの、多分そうなんだろな・・と思わせる内容はそのまま活用させていただいています。真偽のほどは、読者のご判断に任せます。

中身に入る前に、論を進める前提について一言触れさせていただきます。
●本稿はなるべく既存の概念に縛られないことに留意しつつ書きなぐったつもりです。しかし一つだけ念頭に置いたのは、日本の置かれた財政状況を無視しないことです。
●自衛隊OBの論説や極端な右寄り思想家にありがちな、国家安全保障は国の大事だから国防費は最優先だ、との論調は今の時代には通じませんし、悪戯に問題の本質を遠ざけるだけです。防衛費が今の2倍になるようなことになれば、社会保障は崩壊し、少子化の中、自衛官を志願するモノはいなくなります。
●限られた財政の中で、安全保障環境と軍事技術の動向を見極め、国防投資に優先順位を付け、ぎりぎりの選択の中で知恵を絞っていくしかありません。この姿勢は「東京の郊外より・・・」でも基本としているところです


目 次
1 戦闘機の運用基盤は脆弱で高コスト
2 戦闘機単体での能力発揮は不可能
3 脅威の変化により脆弱性が増大

4 空虚な航空自衛隊の戦闘機重視論
5 現状でも戦闘機の能力発揮は困難
6 戦闘機数死守が生んだ「思考能力の壊死」
7 放置された人材育成

8 日米関係を言い訳にするな
9 当面何をすべきか:議論の活発化が鍵
10 最後にもう一度


1 戦闘機の運用基盤は脆弱で高コスト
●戦闘機の運用には、多くのインフラと訓練された多くの人員が必要であり、その準備には多額の経費と時間が必要で、その維持にも継続的で高額な出費が必要です
●搭乗員の技量維持には継続的な訓練が必要で、それを支える燃料費や交換部品費等々の総計は、機体購入価格を遥かにしのぐと言われています

●上記インフラには、滑走路や駐機場、管制塔や航法援助施設、弾薬庫や燃料施設、格納庫や整備関連施設等が含まれ、全て大型で隠すことが困難であり、攻撃が簡単な施設ばかりです
●多くの戦闘機運用基盤は海に近く、外敵の接近が比較的容易であり、かつ基地の外周は10km以上で警備は容易ではありません
●日本は国土が細長くて山岳地域が多く、飛行場に適した場所に限りがあり、民間の飛行場を合わせても飛行場数が少なく、軍用飛行場被害時の代替施設確保が困難です


2 戦闘機単体での能力発揮は困難
●戦闘機の能力発揮には、搭載兵器(ミサイルや爆弾)や支援装備(目標照準ポッドや暗視装置や電子戦装置等)が不可欠であり、優秀でステルス性能を持った機体だけでは何の役にも立ちません
●余裕を持った活動のためには空中給油機の支援が不可欠であり、また戦闘機の作戦には地上や空中レーダーによる管制支援が求められます。そしてこれら支援装備の運用も、脅威の変化を前に極めて脆弱です。

●戦闘機は天候や気象条件に影響を受けやすく、民間旅客機が運行可能な気象条件下でも、戦闘機が運行不可能な場合も多いです。また西から東へ気候が変化する日本にとって、相手が変化する天候を活用(強力な雨や落雷を伴うような寒冷前線を前面に押し立て、中国からの侵攻を企図)すれば、日本の戦闘機は離陸できないままで攻撃を受けることになります


3 脅威の変化により脆弱性が増大
(参考:脅威の変化を考える→http://crusade.blog.so-net.ne.jp/2012-10-08
●これまで「東京の郊外より」で再三説明したように、例えば中国のようなA2ADの行使を意図している国は、戦いの緒戦で大量の弾道ミサイルや巡航ミサイルで日本の航空基地等の作戦基盤を攻撃し、一般に言われる航空戦力を地上で無効化しようとしています
●これに合わせてサイバーや宇宙ドメインで日本の指揮統制能力にダメージを与え、自衛隊の組織的な対応を混乱させる事を狙ってきます

●また、米シンクタンクによる中国軍無人機の作戦構想研究によれば、中国は旧式の有人戦闘機等を無人機に改造し、「おとり」として日本に指向し地上の戦闘機を離陸させ、その間に我の飛行場等にミサイル攻撃を行うことで、帰還先を失った航空機を燃料切れで損耗させる思想も持っています
●航空機による防空能力を失った日本に対し、中国は空中戦能力や組織的運用能力の高くない航空戦力に精密誘導ASMを搭載し、楽々と戦闘機の飛行場や艦艇基地に止めをさすことが出来ます

「中国軍の無人機作戦構想」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-03-12

●その他にも、尖閣問題でその脅威が語られる「偽装漁船」や「偽装漁民」が、短射程のミサイルや迫撃砲攻撃を行ったり、密かに上陸して航空基地に破壊工作を行うことは決して困難なことではありません。


以上、戦闘機の運用特性や戦力維持に必要な膨大な経費、我が国の戦闘機運用基盤の脆弱性等々の視点、更にこれら弱点を狙い撃ちするかのような軍事技術の拡散に伴う軍事脅威の変化から、日本で戦闘機を防衛力の中心に据えることが「危うい」ことをご紹介しました
書きながら思ったのですが、天候に運航が左右されやすいことは案外と忘れられがちであり、重要なポイントです

具体的な例や数値をご紹介できれば、更に理解が深まるのでしょうが、ここでは本問題の大きなイメージを捉えていただくことが重要と考え、省略しています。(手元にデータがないのも事実ですが・・・)

それでは少し目線を変え、航空自衛隊が主張する戦闘機の重要性を、その代弁者であろう空自OBの元空将(技術開発官)による論文から吟味してみましょう。
月刊誌「軍事研究」2009年11月号の筆頭記事で、「なぜ空自F-Xにステルス機が必要なのか」と題して林富士夫氏がインタビュー形式で語っています。論文の目的はステルス機が空自に必要な理由を説明することですが、空自が戦闘機を重要と主張する理由と大部分重なっていますので取り上げます


4 空虚な航空自衛隊の戦闘機重要論
(元空将:技術開発官の林富士夫氏の主張→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2009-11-26-1
●空における戦いは「質を量でカバーできない」。ゆえに空自はこれまで各時点で最高性能の戦闘機を購入してきた。
●ステルス性は次期戦闘機に求められる対戦闘機戦闘力と戦術任務(対地・対艦攻撃)力を発揮する上で必要。対戦闘機戦闘力は、過去においては搭載ミサイル射程とレーダー探知距離が大きな要素だったが、今はステルス性のウェートが高い。
●ステルス性はレーダー性能アップで補うことが困難。併せてステルス機では接近戦となる可能性が高いため格闘戦能力が依然重要。戦術任務では、敵の防空網を回避するのにステルスはアドバンテージ。
●防弾力、システムの強靱さ、電子戦、警報機能等で受け身の防御力は高まるが、相手を撃破できない。ネットワーク装備による状況認識向上は戦力向上に繋がるが、最終的な「1対1」の戦闘能力とは最終的には別物である。

上記のステルス戦闘機必要重要論は、3項で示した脅威の変化を踏まえれば、的外れになりつつあることがご理解頂けるでしょう。
まず、相手は空で戦うことを望んでおらず、地上で脆弱な航空アセットを破壊しようとしています。また「おとり」で離陸させ燃料切れで無効化することや、サイバーや宇宙ドメインで指揮統制を破壊して戦闘機無効化することを狙っているからです

また、ステルス機の突破能力は魅力ですが、同じく脅威の変化を考えれば、その脆弱性が飛躍的に増しており、投資の効率性が「ウナギ下がり」であることもご理解いただけると思います
更に、我がステルス機を導入しなければ相手がステルス戦闘機で攻めてくるかというとそれは疑問で、相手が弾道ミサイル等を多用するのは、それが極めて効率的だからです。

無論相手もステルス機に投資していますが、これは天安門事件以降、軍に与えられた自由度を生かし、何処も変わらぬ軍人が西側の影響を受けて夢を追い、おもちゃとして開発させているものだと考えてよいと思います。無論それなりの脅威ではありますが。

以上では軍事的な合理性の観点から戦闘機優先投資の問題点を整理しましたが、以下では60年にわたり「戦闘機命主義」を続け、数10年にわたり根拠無く「戦闘機数や戦闘機飛行隊数」を維持してきたことによる「組織の垢」や「パブロフの犬症候群」が生み出した問題点を考えます


5 現状でも戦闘機の能力発揮は困難
●いつ「戦闘機数と戦闘機飛行隊数」死守の「教義」が出来上がったかを正確に承知していませんが、日本の防衛予算が右肩下がりになる遙か前、社会党がそれなりに勢力を持ち、国会で無意味な自衛隊や防衛に関する神学論争を繰り広げていた頃に築き上げられた、いわば苦肉の「絶対防衛圏」であったようです
●まだ冷戦華やかななりし頃は、F-15の機数を積み上げることでソ連に対する抑止力になりえ、中曽根首相(当時)の「浮沈空母」論と相まって、日米同盟のサクセスストーリーを築き上げました。

●しかし軍人は過去の栄光にすがる生物です。冷戦が終わり、バブルが弾け、防衛白書に不透明・不確実の文字が登場し、更に軍事技術の拡散が叫ばれても、「戦闘機数と戦闘機飛行隊数」死守の「教義」は生き残りました。
●そしてそれは、プラットホーム数の確保を優先し、肝心の搭載装備品(ミサイル、弾薬、電子戦、センサー、目標照準ポッドや暗視装置)を置き去りにする結果を招きました。
●今や米空軍幹部は、プラットフォームは高価で更新に時間が掛かるため、搭載装備品の改良や更新に投資すべきだと語っていますが、航空自衛隊はその逆を長年歩んでいます。

●空中給油能力(たった4機)やISR能力(未だに写真電送も出来ないRF-4)への投資も犠牲にされてきましたし、有人戦闘機の機数や操縦者定員が削減される恐れから(多分)、全世界の軍が争って導入を進めている無人機も未だ研究予算を積んで誤魔化している惨状です。
●またアジア太平洋地域の米軍が、A2AD対処の重点事項として取り組む脆弱性克服(Resiliency向上)にも全く目が向けられていない有様です
●更に言うならば、細長い日本を活用するに必要な輸送能力さえ犠牲にし、ただひたすら戦闘機の数だけ揃えてきました。

●尖閣問題を巡る議論の中で、「日中が戦ったらどうなるか?」との議論を見かけますが、空自のOBも含め、現時点ではほぼ全員が空自の制空権獲得は間違いないと主張し、この状態を維持すべきだからF-35を導入せよ、又は国産戦闘機を等と叫んでいます。

●しかしまんぐーすは思います。マニアックな空中戦機動だけを取れば空自側に有利な面もあるでしょうが、戦闘機命で空自が無視してきた電子戦やサイバー戦や宇宙戦分野では、細部は不明ながら中国側が優位な状況にあり、展開基盤基地数も考えれば既に中国側に有利な状況とも考えられます。
●また、これら中国が有利と考えられる分野は、中国の関与を明確にすることなく作戦遂行が可能で、米国の介入を排除しやすい点でも中国側に有利です。「戦闘機数と戦闘機飛行隊数」死守の「教義」は完全に破綻し、そのよう有効性を失っています。


6 戦闘機数死守が生んだ「思考能力の壊死」
●防衛費は右肩下がりの時代を迎え、この「教義」は他の装備の取得を押しのけて「のさばる」様になり、5項に説明したような戦闘機の「裸の王様化」を進める結果となりました。
●そして今自衛隊を担っている世代は、この「教義」を信奉して(又はその振りをして)生きることを余儀なくされ、悲しいながら反射神経的に、又は「パブロフの犬」のように戦闘機を一番に考える思考パターンを刷り込まれています。つまり戦闘機以外の作戦に目が向かなくなっています。

●F-22を米国が売却せず、F-35の開発が遅れてF-Xの選定が難航した時期、F-X用に確保していた予算を多様な分野に活用するチャンスがありました。軍需産業界の業界新聞は当時、様々な可能性を想定し、「忘れられた分野」への投資を訴えていました。しかし航空自衛隊の選択はF-15の能力向上でした。ネットワーク能力向上は必要だったでしょうが、ほぼ全てを戦闘機につぎ込んだ姿勢は、多くの憂国の士を落胆させました
●東日本大震災の津波被害にあった松島基地のF-2戦闘機の扱いも衝撃的でした。被害を受けた18機に対し、約140億円もの経費をかけて修理可能かどうか検査し、その内6機を修理することとなったのです
●そしてその修理費にも皆が唖然としました。1機約120億円で購入した戦闘機に、何と1機約130億の修理費を投入することになったのです。全ては根拠無き「戦闘機数と戦闘機飛行隊数」の「教義」を守る「パブロフの犬」反応から生まれたものです。そしてこれらの決定が、組織の大部分に「しらけ」ムードをもたらしました。「この組織はだめだ」とのメールを頂いたのもこの頃です。

「戦闘機修理に1機130億円」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-07-12-1

●更に決定的だったのがF-35の導入決定でした。まだ期待として完成していないカタログだけの機体を、開発が停滞している問題だらけの機体を、どのような自衛隊全体での作戦を想定しているのかの説明も無しに、実質的に「価格青天井」で買うことを決定したからです
●全ては戦闘機を中心に、戦闘機操縦者を中心に回っていることが白日の下にさらされた決定でした。「しらけ」はムードではなく、「叫び」として表れるようになったのです。「東京の郊外より・・・」には、この頃から「亡国のF-35」関連記事に多数の応援メッセージを頂くようになりました。

「亡国のF-35」関連記事(最近の15本)→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/archive/c2302846744-1

●防衛費が右肩下がりの中で、このような根拠無き「戦闘機と戦闘機飛行隊数」維持至上主義がまかり通る事で、パイロット以外の「やる気」は失われ、全ての航空自衛隊員の「考える意欲」や「論理的思考力」が退化したのも当然の結果です。

●かねてより、航空自衛隊出身OBには安全保障を語れる人がいないと言われているのですが、最近の北朝鮮によるミサイル発射事案に際しても、PAC-3ミサイルで貢献する空自のOBがプレスに登場する事はほとんどありません。
●当然といえば当然です。周辺環境の変化や脅威の変化を都合よく解釈し、根拠無き「教義」を閉鎖的組織の中で信奉してきた彼らは、組織の外で語るべき論理や言葉を持っていないのです。

そんなOBが外で発言すると悲惨な状況に・・・。以下は「反面教師」的主張の一例
---中国が本土からミサイル攻撃すれば、沖縄の航空機基地はたちまち作戦能力を失い、制空権は消滅するとの主張する有識者もいる。理論的には正しいが、現実離れしている
---そうなれば米国を巻き込んだ全面戦争である。中国は国際社会から孤立し、制裁は避けられず、何より優先の経済成長は見込めなくなる。
---現在、中国は米国との戦争を最も避けたがっており、そういう事態を望んでいない

●上記で引用したOBの小論タイトルは「戦わずして負けた日本」となっていますがが、同OBは「戦っても負ける日本」や「平時だけの空軍」を容認しているのでしょうか?
●ミサイル攻撃を「理論的には正しいが、現実離れしている」と達観し、中国は経済を優先して本格的な攻撃はしないと言い切る自信が羨ましく、同時に何が目的で防衛力を造成しているのかを聞きたいものです

●中国は米側の西太平洋地域における軍事的弱点を研究し、その結果導かれたA2AD戦術遂行のため装備の近代化を進めています。この中国軍事力との対峙を「理論的には正しいが、現実離れしている」と脇に置き、同氏は戦闘機による平時の「航空優勢」や「制空権」に全てを賭けるのでしょうか?

●同OBの「南西諸島方面の航空優勢は日米同盟側にある。航空優勢がわが方にある限り、中国は軍事行動を起こさない」との主張に対する疑問は、米軍を巻き込まずに済む電子戦やサイバー戦や宇宙戦分野での中国有利と我の劣性の観点から指摘した通りです。
●それでも今は、ひたすら戦闘機で勝ち取る狭義の平時だけの「航空優勢」や「制空権」だけで十分だと主張するのでしょうか?

●いや同OBはこう主張するのかもしれない。国の最重要課題である国防のため、国は最優先で国防費を増加させ、戦闘機だけでなく必要なすべての部分に投資すべきと。
●そしてそれが叶わぬのは、防衛省内局の無知な文官や政治の貧困が原因だと天を仰いで嘆いて終わるのでしょうか?

●ちなみに上記OBは、F-X選定が遅れていた時期に「F-X選定が遅れて戦闘機12個飛行隊の維持が困難になっては本末転倒である」との戦闘機命派らしい「本末転倒」な論陣を張り、大いに失笑を買った人物です
●1000歩譲って語れる能力を蓄えた人がいても、現在の安全保障環境と脅威の変化の中で、軍事的合理性に基づいて語れば「戦闘機命主義」を擁護することは難しく、自然と口を閉じざるを得ないのです。

「空自OB:F-Xはステルス無しでも」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-07-16
「戦闘機12個飛行隊の維持が困難になっては本末転倒である」との「本末転倒」な発言に注目

石破茂・元防衛大臣の自衛隊批判http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-07-29-1
---「陸海空の装備が、本当に統合オペレーションを頭に入れて、陸は、海は、空はとこれだけという予算の立て方をしているかというと、私は3年間防衛庁や防衛省にいたが、絶対にそうだとは思わない」
---「陸は陸、海は海、空は空・・それは絶対譲らない。シェアも変わらない。運用だけ統合でやっても、防衛力整備を陸海空バラバラにやっている限り、信用がならないと思っている。」
---「陸海空がバラバラに内局へ行って、内局の分からず屋と言う話になって、政治が馬鹿だと言って、それでおしまい。そしてみんなが何となく天を仰いで、この国はだめだとか言っている」

●OBでさえこの状況です。最も脅威の変化や今後の施策について激論を交わすべき現役に至っては言わずもがな。民主党政権下の「公務員いじめ」的な施策もあり、保身姿勢を強めた現役高級幹部は、定年を指折り数えつつ、埃を被った神棚の「教義」を放置している状況です


7 放置された人材育成
●右肩下がりの予算の中で一部を神格化することは、他を冷遇することになります。これまでは装備品の観点からこの問題を見てきましたが、人材育成の面からも負の影響は甚大です
●「戦闘機神格化」の人材育成への影響は2つの視点から観察できます。一つは全士官の10数%に過ぎないパイロット優遇人事であり、もう一つはパイロット以外の士官への投資の貧弱さです

●パイロット優遇人事は、特に外部の陸上や海上自衛隊の幹部からも驚きを持って見られています。特に統合運用が進み、共に勤務することが多くなった他自衛隊士官からすれば、「なぜあの人が」のケースが多いようです
●また3自衛隊の士官候補生が共に4年間を過ごす防衛大学校の同級生の間でも、陸海自衛隊幹部から見た航空自衛隊の人事の異様さがよく話題に成っているようです。

●パイロット以外の人材育成は、サイバーや宇宙といった新たなドメインが陸海空と並び称されるこの時代に当然のことですが、根拠無き「教義」にしがみ付く操縦者高級幹部が注目するはずもなく、実質放置されています。
●電子戦やネットワーク、無人機の活用に関しても同様です。特に無人機の導入は戦闘機数等の削減につながる可能性もあるため、非常に機微な事項とされ、密室での決定が常態化しているとの指摘も聞こえてきます

●1項で述べたように、パイロットの養成や能力維持に必要な経費は膨大ですが、脅威の変化に見合った訓練の訓練内容や目標技術レベルの見直しは手付かずで、「教義」が放置されると同様に「不可侵」領域で保護されている状態です。
●逆にその他の重要性を増す分野の人材育成は、実質見向きもされず、仮に養成されても「戦闘機神格化」の中で埋没させられているようです。既存の施策も厳しい予算の中で一律カットや理由なき中止に追い込まれています


8 日米関係を言い訳にするな
●戦闘機重視の言い訳に、米軍からの要望を持ちだす者も存在します。しかし私は、これを「都合のよい米軍利用」だと考えています。
●中国の軍事力が急激に増強される中、米軍はこれをA2ADとの概念でとらえ、エアシーバトル等のコンセプトでこれに対応しようとしています。そこには「地理的に分散し」、「作戦面で強靭な」体制を「政治的に持続可能な形で」追求する基本原則があります

●米軍の作戦運用構想は急激に変化しており、ペンタゴンやワシントンDCのシンクタンクを中心として議論が進む新たな考え方は、太平洋軍や在日米軍レベルで十分消化されているとは言い難いでしょう。
●つまり、旧来の湾岸戦争が戦い方が米軍関係者にも色濃く残る中、、予算削減の中でとりあえず同盟国を鍛えて米国の負担を軽減せよとの指示を受け、何となく自衛隊と訓練や意見交換を行っているのが太平洋軍や在日米軍の実態だと思います

●このような過渡期にあって、仮に航空自衛隊が脅威の変化を踏まえて明確なビジョンを持ち、戦闘機命主義を見直すと主張すれば、多少の議論はあっても最終的に米軍は理解すると思います
●振り返って残念なのは、仮に戦闘機重視の米空軍を批判的に見ていたゲーツ国防長官の時代に、日本が「戦闘機命主義」転換を含む新たなビジョンを持ちだしていれば、大いに歓迎され、米軍を巻き込んでの大きな方向転換が可能だったのに・・との思いが残ることです。

「バランスのとれた軍を」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-04-09
「空軍士官候補生へ最終講義」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-03-07
「空軍は単に飛んでいたいのか」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-10-02
「ゲーツ長官が空軍へ最後通牒」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2009-09-17

●「戦闘機命主義」を多少転換しても、米国の軍需産業から装備品を購入する流れに大きな変化はありませんから、政治レベルでも議論は可能だと思います。無論、国内軍需産業にはそれなりのインパクトがあるでしょうが。
●日本の防衛力や抑止力が高まることが米国にとって重要なことですから、決して表面的な米側の要望を盾にすること無く、必要な投資に舵を切ることが必要です。脆弱な戦闘機中心ではなく、「作戦面で強靭な」方向への転換は大いに歓迎されたはずです。


9 当面何をすべきか:議論の環境を
●専守防衛の撤回は抑止力を高めるに必要不可欠で、憲法の見直し議論も自然な流れです。これらの見直しにより、弾道ミサイルや長距離巡航ミサイルを装備し、ステルス無人偵察機を保有することも必要でしょう。しかしそれを待つ間にも可能なことはあります

●必要性が「ウナギ下がり」な戦闘機プラットフォームの追加取得は当面抑え、機能するか予断を許さないF-35の取得は中止か延期、又は最小限に抑える必要があります。
●F-4戦闘機は運用を停止し、その分の戦闘機数は永久にこれを削減します。また空中戦のような蓋然性の薄い訓練は極限する等により、各戦闘機飛行隊の機数を削減し、戦闘機全体の維持経費も削減します。

●戦闘機への投資削減分を振り向ける先は、これまで無視されてきた装備品であり、「プラットフォームより搭載装備品」との時代の流れに沿った投資に転換すべきです。また戦力マルティプライヤーとして空中給油機も増加が必要です。細長い国土を利用するには輸送能力の強化も急務です。
●沖縄や南西諸島の防衛にあたっては、極めて脆弱な戦闘機対処は優先度を下げ、日本版ミニA2AD網を構成するのも一案でしょう。各種対艦ミサイルや巡航ミサイルを巧みに地形を利用して隠して配置し、サイバー戦や電子戦も十分に活用できる体制を構築すべきでしょう
●Resiliency(強靱さ)強化のため、滑走路補修装備や施設の強化も必要でしょう。

●急激に装備品を変えることは困難ですが、徐々に装備体系を転換させていく中で日本人の知恵を引き出す必要があります。上記の一案にこだわるつもりもありませんが、今方向を変えなければ組織が内部が、「しらけ」から壊死してしまいます。
●戦闘機命派の最後の砦である「戦闘機以外に何が買える」や「しょうがない」との思考停止の捨て台詞や「教義」から脱却し、将来を担う若手士官や非パイロットにも議論の機会を与え、自由に考えさせることで「澱んだ雰囲気」を一掃する必要もありましょう

●外部者であるまんぐーすにはこの程度の「当面の策」しか思いつきませんが、「戦闘機の呪縛」から脱却した自由な議論の機会を与えられた優秀な若手士官から、より効果的・効率的なアイディアが出されるでしょう。
●本稿を作成するに当たり参考させていただいた、「東京の郊外より・・・」に寄せられた多くの内情に関するメールに感謝するとともに、真に優秀な皆さんに活躍の場が与えられることを祈ります
●「絆」との言葉が最も虚しく響くこの組織が、1日も早く目を覚まして然るべき方向に向かうことにより、「東京の郊外より・・・」に寄せられる「憤懣やる方ない」若手自衛官や官僚、更には国際情勢研究者や安全保障にご興味のある皆様の力やアイディアが生かせる組織になることを祈るばかりです。


10 最後にもう一度
●本稿はなるべく既存の概念に縛られないことに留意しつつ書きなぐったつもりです。しかし一つだけ念頭に置いたのは、日本の置かれた財政状況を無視しないことです。
●自衛隊OBや右寄り思想家の論説にありがちな、国家安全保障は国の大事だから国防費は最優先だ、との論調は今の時代には通じませんし、悪戯に問題の本質を遠ざけるだけです。防衛費が今の2倍になるようなことになれば、社会保障は崩壊し、少子化の中、自衛官を志願するモノはいなくなります。
●限られた財政の中で、安全保障環境と軍事技術の動向を見極めて国防投資の優先順位を付け、ぎりぎりの選択の中で知恵を絞っていくしかありません。この姿勢は「東京の郊外より・・・」でも基本としているところです

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「脅威の変化」を体に叩き込む

本日はまんぐーすのつぶやきです

最近、尖閣問題を巡って「日中海軍が戦わば」とか「尖閣軍事衝突のシナリオ」といったマスコミ報道をよく目にします。
しかしそのどれもが旧態然とした軍事的視点から述べられており、唖然とするばかりなので、本日は少し脅威の変化についてコメントさせていただきます

「日中海軍が戦わば」とか「尖閣軍事衝突のシナリオ」の作成者は、時に米国の識者だったり、日本の軍事専門家だったりするのですが、そのアプローチや視点が、冷戦当時の旧態然とした軍事的考え方を元に構成されているような気がしてなりません

両国海軍艦艇の大砲やミサイルの射程や破壊力を比較したり、総トン数を比べたり、ちょっと高齢の識者になると「制空権」が重要だと「上から目線で」語ってみたり・・・

兵器技術の非対称戦法の拡散を言葉の上では理解していても、体に染み込んでいない・・・又は旧態然とした考え方から抜け出ていない気がしてなりません

そんな方にはまずこの論文をご紹介
●今や潜在的敵対国は全て、米国と通常戦の手法で正面から対峙するのは得策ではないと学んだ。・・・潜在敵国は、米国に対して戦闘機や空母等の軍備拡張競争を挑み、破産する道を選ぶだろうか
●中国のような国を考える時、対称的な脅威、つまり戦闘機VS戦闘機、艦艇VS艦艇の様な挑戦を米国はさほど懸念する必要はない。
●しかし中国のサイバー、対衛星、対艦兵器、ミサイルへの投資は、米軍の戦力投射力や同盟国の能力を脅かす。特に前線海外基地と空母機動部隊に対して
「Balanced Strategy再確認」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-11-27

上記は、現在の米国防省や米軍諸改革の根本を形作ったゲーツ前国防長官の論文の一節ですが、イラクやアフガンで対ゲリラ戦のような活動に10年以上集中していた米軍等西側軍の弱点を、容易に入手できるようになった近代軍事技術を利用し、非対称の戦法で突こうとしているのが中国やイランでしょう

日本のメディアは、中国の最新戦闘機J-20や空母遼寧の話題ばかりを取り上げますが、これも「戦闘機VS戦闘機、艦艇VS艦艇」の旧来思考の視点で軍事を捉えようとする、又は一般大衆受け(視聴率狙い)のアプローチであり、戦いの本質とは異なります

また厄介なのは、海空自衛隊(そのOBを中心に)が偏狭な組織防衛のために中国の最新戦闘機J-20や空母遼寧の脅威を声高に主張し、亡国のF-35導入や海自予算獲得を正当化しようとプロパガンダを行っている点です。

典型的な反面教師例が以下の雑誌記事
「なぜ空自にステルス機が必要?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2009-11-26-1


しかし、中国軍事力の脅威について欧米の専門家集団の視点は異なります

まず最初は米国防省発表の「中国の軍事力2013」
●中国が力点を置いている分野は「高列度紛争に短期間で勝利」、「短・中距離弾道ミサイル、対地対艦巡航ミサイル、宇宙兵器、軍事サイバー空間能力に焦点」
米国防省「中国の軍事力2013年」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-05-08

例えば、ミリタリーバランス2012で英IISSは、
●J-20や空母試験に注目が集まっているが誇大な評価だ。警鐘者が主張するより、中国の技術進歩はむしろ控えめである。J-20や空母の能力はたかが知れている。しかし、中国の対衛星兵器、対艦弾道ミサイル、巡航ミサイル、サイバー戦能力開発は、他国の国防関係者の頭から離れない
「IISSミリバラ中国脅威は」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-03-08

また、米空軍からの研究資金でレポートをまとめたRANDは
●中国空軍は、米国の航空優勢獲得能力の優越を良く認識しており、米軍等航空戦力や指揮統制システムを地上で破壊して局所的な優位を獲得しようとしている。
「RANDが中国空軍戦略を」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-03-29

中国海軍の権威として知られる米海軍大学研究者は
●中国海軍の教科書や文献調査から、中国海軍は自身の海戦史をよく学び、結果として海軍版のゲリラ戦法を重視していることが明らかになってきた。中国海軍は、遠洋海軍建造よりも近海地域での非対称戦に力点を置いている
「中国海軍はゲリラ戦」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-09-29

中国空軍の権威としてCIA長官賞を受容した研究者は
●在沖縄や在グアム米空軍アセットへの最大の脅威は、中国空軍からのモノではなく、弾道ミサイルからの脅威である
「中国空軍は脅威なのか?」→→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-05-07

海軍情報部長など米軍高官も
●J-20は中国の装備開発が想像以上に進んでいることを示した。しかし空母と共に、それらを運用するにはまだまだ長期間を要するだろう。それよりも我々は、中国のサイバー戦や宇宙関連技術等(の非対称な能力)を警戒している。
「海軍高官の懸念」→http://www.afpbb.com/article/politics/2781770/6633582
「空軍へ最後通牒」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2009-09-17

4大政策シンクタンクによる国防省への提言
●中国やイランを見習って米国もA2ADの考えを導入すべき。戦闘機や攻撃機の削減は共通の結論。4チームともミサイルや誘導兵器への投資を推進
「4大シンクタンクの国防改革案」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-05-30

有識者間で最も信頼されるシンクタンクCNASも
●米国はまず西太平洋地域、次に中東地域での戦いを念頭に資源配分を考えるべき。これら2つの地域の特性を考えれば、海軍及び空軍アセットへの投資が地上部隊より必要になるのは自然な帰結。空母やF-35の調達数削減も当然の帰結
「空母とF-35を削減せよ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-03-14
「CNAS米軍改革案」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-05-27
「海空軍を重視せよ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-10-10
「バランスのとれた軍を」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-04-09


上記の中国軍事戦略を前提として考えられたのが2010QDRであり、その中で検討することが示されたのがAir-Sea Battle Conceptです

●中国は通常戦力で米軍等と正面から対峙しようなどとは考えていない。初動で弾道・巡航ミサイル、サイバー・宇宙兵器を多用し、米国等の作戦実施基盤を運用不能に。
●Air-Sea Battleのエッセンスは、中国の大規模な先制攻撃に耐え、その影響力を和らげ、中国の拒否戦略・接近拒否(A2AD)システムを盲目化することでA2AD力を弱体化し、作戦全体の主導を握ることで後の作戦への足場を確保することにあり。

「QDRから日本は何を読み取るべき」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-02-07
「CSBA中国対処構想」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-05-18
「1/2米中衝突シナリオを基礎に」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-12-28
「2/2米中衝突シナリオを基礎に」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-12-28-1

●ただ一方で、「米海空軍の配備やドクトリンに関し、Air-Sea Battleほど強い影響を与えつつあるコンセプトは他になく、(同時に)今後重要な構想で、これほど固くガードされているものはない」のが現状です→http://wedge.ismedia.jp/articles/-/2120


このような脅威認識の下、また財政的制約の中、米国防省や米軍は・・・
●長距離・ステルス・無人・サイバー・宇宙・特殊作戦等の分野に重点的に投資を行い
●アジア太平洋地域での作戦能力の強靭性(Resiliency)を確保するため、作戦基盤を韓国・日本・グアムからの豪・マリアナ諸島・東南アジア諸国等々へ分散を図り
●同地域でのプレゼンス維持にはローテーション派遣制度を導入し、米軍への人的・財政的負担軽減を図りつつ、同盟国等への政治的負担の軽減にも配慮する政策を打ち出し
●米国自らの財政基盤が弱まりつつあることを受け、アジア太平洋諸国との共同訓練を強化して同盟国等の能力強化によって全体での軍事力アップを図ろうとしています

「補足米中衝突シナリオを基礎に」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-12-28-2
「概要海空軍トップのASB論文」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-06-19
「Resiliencyを捨てたのか?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-09-13-1


しかし一方で、冒頭紹介したゲーツ前長官の言葉「今や潜在的敵対国は全て、米国と通常戦の手法で正面から対峙するのは得策ではないと学んだ」を学んだ米軍は
●米軍の新しい統合作戦指針たる「Capstone Concept」で、「地球規模で融合した作戦遂行には8つの要素がカギ」と説明し、その一つに「目立たない・人目に付きにくい作戦能力が将来重要な役割を」と明記し、サイバー、宇宙、特殊作戦、ISR等の作戦を重視する方針を明確に打ち出している

「統合の作戦コンセプト発表」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-10-02


日本に対しての要求は公式には憲法や政治情勢に配慮して穏やかですが、当然背景には最前線基地として守りや抑止力を強化してほしいとの願いが・・・
●山間に隠した弾道ミサイルの方が抑止力としては効果的。シンクタンクAEIが「日本は中距離弾道ミサイルを装備すべき」と提言。「日本が軍事的姿勢を強め、消極平和主義を放棄することを求める」と
●日本は対中国のため、例えば琉球列島でミニA2AD戦略を遂行する備えをしてはどうか
「AEIが中距離弾道弾配備を」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-10-07-1
「対中国にミニA2ADは?」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-09-29


しかし日本国内の防衛議論は、主導すべき防衛省・自衛隊でも・・
●「陸海空の装備が、本当に統合作戦を頭に入れて、陸は、海は、空はいう予算を組んでいるかというと、私は3年間防衛省にいたが、絶対にそうだとは思わない」
●「陸海空がバラバラで信用ならない。別々に内局へ行って分からず屋と言って、政治が馬鹿だと言ってそれで終わり。天を仰いでこの国はだめだとか言っている」・・という状態にあります。
「石破茂幹事長の自衛隊論」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-09-12-1

特に陸上自衛隊の組織防衛活動は、本末転倒の域に達し目に余るものがあります
「天下の正論:陸上自衛隊削減」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-09-15-1
「国防より組織防衛」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-11-16

もちろん航空自衛隊の戦闘機にのみ投資、F-35命の姿勢も同罪ですが、この問題は根が深いです。まずF-35開発のでたらめさは・・・
「米会計検査院のF-35批判」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-03-21
「カナダ検査院国防省批判」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-04-04
「空自操縦者:米F-16で養成中」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-07-12-1

そして航空自衛隊が脅威の変化を無視し、脆弱性と価格が「右肩上がり」する一方の戦闘機だけに投資している「パブロフの犬」状態にある惨状を、さまざまな観点(脅威の変化を無視、冷戦時代の戦闘機数「教義」に固執、未だ空中戦しか頭にない思考、新分野の人材育成を無視、米軍に責任転嫁、情けないOBの状態等々)から描写してみました。
「戦闘機の呪縛から離脱せよ!」→http://crusade.blog.so-net.ne.jp/2013-04-16


また、米軍の作戦面での変化を正面から受け入れていない状態・・
●2012年東アジア戦略概観→「エアシーバトル」はあくまで作戦ないし戦術レベルにおける運用構想とみなすべきであり、米国の戦略全体を左右するような概念ではない
●2012年東アジア戦略概観→作戦上の強靱性(Resiliency)の前提には、あくまでも前方展開を維持することがあると理解するべきであろう
●2012年東アジア戦略概観→「エアシーバトル」は、米国が前方展開兵力を大幅に削減して、有事が発生したら後方から長距離打撃戦力のみで関与するというような「Offshore Balancing」を志向していることを意味するわけではない。あくまで「戦い方」を示す概念として理解すべき

「力みすぎ東アジア戦略概観」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-04-03

信じるものは救われるのだろうか? まんぐーすは日米同盟の重要性を主張する立場(日本が同盟という船の操舵室に存在するという前提で)ですが、2012年東アジア戦略概観のように妄信は出来ないと考える立場です。

●そもそもエアシーバトル採用を促したゲーツ前国防長官は「Offshore Balancing」論者であった
「新国防戦略とoffshore balancing」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-02-27
●現在の米軍でエアシーバトルを推進するメンバーにも、「Offshore Balancing」論的考えかたの人材が多いし、日本やグアムからの撤退訓練が実際行われているからです
「有事直前嘉手納から撤退?」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-05-13
「米と豪が被害想定演習を」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-08-02


冒頭の尖閣問題を巡る軍事的衝突の話に戻ると
●「戦闘機VS戦闘機、艦艇VS艦艇の様な挑戦」だけの視点では、海上優勢も制空権も語れない時代になっていること
●中国が重視している三戦(心理、世論、法律戦)のアプローチからも、「戦闘機VS戦闘機、艦艇VS艦艇の様な挑戦」だけの視点が旧態然としていることは明らか
●局所的な軍事衝突でも、サイバーや電子戦(電波で敵通信やレーダーを妨害)は当然重視される時代になり、技術も拡散している
●本気で制海権や制空権を議論するつもりなら、日本が数少ない作戦基盤基地に依存していることを無視しての議論は空しい。米海空軍トップの「Air-Sea Battle」論文は、「典型的な脅威に、中国の対艦弾道ミサイルDF-21Dや長距離巡航ミサイルDH-10のような長距離精密誘導兵器の開発と蓄積がある」と明言しているのに、どうして無視するのか

「海空軍トップのAS-Battle論文」http://crusade.blog.so-net.ne.jp/2012-06-19
「概要海空軍トップのASB論文」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-06-19

上記のような議論もあわせて行わないと、バトルオブブリテン(英本土防衛作戦)や湾岸戦争時代から抜け出せません

最後に中国軍人の発言をご紹介・・・
(尖閣での局地戦で日本が中国に勝利との日本報道に対し・・・)

●中国国防省の局長→「日本は中国のミサイルの脅威を考慮しないのだろうか。局地戦が発生して両国の艦艇や戦闘機が出動する前に、中国側がミサイルで先制攻撃するかもしれないのに」
●中国軍少将→「愚かな人間が夢を語っているようだ。局地戦が発生したら、中国は海軍だけでなく空軍、第2砲兵(戦略ミサイル司令部)が立体的な作戦を展開し、勝利を得るだろう」

「中国に諭される情けなさ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-10-29
「中国艦艇が巡航ミサイル搭載へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-08-08  

戦闘機命派が旧態然とした空中戦による決戦を夢見る中、中国軍が増強・強化を続ける脅威の中心はどこなのか。日本の戦闘機命派はどう答えるのでしょうか?
米軍が弾道や巡航ミサイル、サイバーや宇宙兵器、更に世論戦・心理戦・法律戦を脅威の中心に据える中、日本の戦闘機命派や着上陸命派が組織防衛のため無視続ける脅威がそこにあります

日本自らが、地上で破壊されたり身動きできなくなる可能性の高い戦闘機中心(だけ)の防衛力整備の方向を改め、ミサイルや無人機やサイバーや非公然活動等々を絡めた総合戦闘力(=抑止力)を高める方向を打ち出し、主体的に米国と議論しないと、ずるずると米国主導で五月雨式に出費を強いられ、人も育たず、士気も低下する組織になる気がします

2012年6月に作成した主要記事リストです。以上のような視点からの記事をたくさん掲載していますので、ご興味のある方は是非ご覧ください
http://crusade.blog.so-net.ne.jp/2012-06-25

タグ:脅威の変化
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